江原由美子

江原由美子：日本のフェミニズムを牽引する社会学者

江原由美子氏は、1952年神奈川県生まれの社会学者です。東京大学文学部卒業後、同大学大学院社会学研究科博士課程を中退し、2002年には東京大学より博士（社会学）の学位を取得しました。東京都立大学、お茶の水女子大学、首都大学東京、そして現在も横浜国立大学にて教鞭をとる一方、2005年からは社団法人神奈川人権センターの理事長を務めるなど、精力的に活動しています。

フェミニズム研究への貢献

江原氏は、日本を代表するフェミニストの一人として知られています。その研究は、女性学、ジェンダー論、そして理論社会学と多岐に渡り、特にフェミニズムの理論構築と社会運動への貢献は著しいものがあります。

数多くの論文や著書を発表しており、中でも『フェミニズムの主張』シリーズは、当時タブーとされていた論争的なテーマを積極的に取り上げ、日本のフェミニズム議論を大きく前進させました。また、『日本のフェミニズム』『新編 日本のフェミニズム』シリーズの編集を通して、日本のフェミニズム運動の全体像を提示し、その発展に貢献しました。

江原氏の研究の特徴として、女性を取り巻く役割期待や社会構造の問題を、単に問題点として指摘するだけでなく、それらがどのように問題化されていくのかという過程そのものを理論的に解明しようとする姿勢が挙げられます。多くのフェミニストが女性差別の実態を訴える中で、江原氏は問題が生じるメカニズムに焦点を当て、理論的な裏付けを与えようとした点が、他の研究者との大きな違いと言えるでしょう。

主要な経歴

学歴:
1975年 東京大学文学部卒業
1979年 東京大学大学院社会学研究科社会学専攻博士課程中退
2002年 東京大学より博士（社会学）取得

職歴:
1979年 東京都立大学人文学部助手
1982年 お茶の水女子大学文教育学部専任講師
1986年 お茶の水女子大学文教育学部助教授
1992年 東京都立大学人文学部助教授
2001年 東京都立大学人文学部教授
2005年 首都大学東京都市教養学部教授
2009年 首都大学東京副学長
2017年 首都大学東京退職、名誉教授
2017年 横浜国立大学教授

学外における役職:
日本学術会議第一部幹事（第20期）
* 社団法人神奈川人権センター理事長

主要な著書・編著書

江原氏は、単著、共著、編著、共編著、訳書など、数多くの著作を発表しています。その内容は、フェミニズム理論、ジェンダー論、社会学理論にわたり多岐にわたっています。代表的な著書としては、『生活世界の社会学』『女性解放という思想』『フェミニズムと権力作用』『ジェンダー秩序』『自己決定権とジェンダー』『持続するフェミニズムのために』などが挙げられます。これらの著作は、日本のフェミニズム研究、ひいては社会学研究に大きな影響を与えてきました。

結論

江原由美子氏は、その鋭い洞察力と綿密な分析に基づいた研究活動を通して、日本のフェミニズム研究に多大なる貢献を果たしてきました。その功績は、単なる学問的な領域にとどまらず、社会全体のジェンダー意識や人権意識を高める上で大きな役割を果たしています。今後も、その知見と経験を活かし、社会に貢献していくことが期待されます。

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