江口英一

江口 英一について

江口英一（えぐち えいいち）氏は、1918年7月27日に愛知県に生まれ、2008年11月22日に世を去った日本の著名な社会学者である。彼は中央大学名誉教授として、社会福祉や社会保障、貧困問題、日雇い労働者の生活状況など、多岐にわたるテーマの研究を行った。

学歴とキャリア

江口氏は、1938年に第八高等学校（旧制）を卒業し、1941年には東京帝国大学経済学部を卒業した。学問の道に進む中で、彼は1948年に専修大学経済学部の助教授に就任。その後、彼は1956年に北海道大学教育学部の助教授を経て、1959年には日本女子大学文学部の教授に就任した。さらに1968年には中央大学経済学部教授に就任し、1989年に定年を迎えるまでその地位にあった。教授辞任後、彼は名誉教授としてその知識と経験を後進に伝えた。

江口氏は、社会福祉分野において顕著な業績を残し、1981年には野呂栄太郎賞、1982年には「現代の『低所得層』―『貧困』研究の方法」で日本学士院賞を受賞した。また、1983年には「現代の『低所得層』」で中央大学経済学博士の学位を取得している。このように、江口氏は多くの評価を受け、社会学の発展に寄与した。

研究と著作

江口氏の研究は、特に「貧困」と「低所得層」を中心に展開されており、彼の著作には社会福祉制度や労働政策に関する重要な研究が含まれている。著書には、1979年から1980年にかけて刊行された『現代の「低所得層」 「貧困」研究の方法』があり、この作品では日本における貧困の実態とその研究方法に関して詳しく解説している。

また、共編著として『公的扶助制度比較研究』や『社会福祉論』などがあり、他の研究者とともに社会福祉の枠組みや課題について探求した。1981年には『社会福祉と貧困』の編著を手掛け、社会福祉および貧困問題の重要性を訴え、多様な視点からその解決策について論じている。

江口氏の研究テーマは、時代の変遷とともに変化し続けた。例えば、日雇い労働者の問題や、安定した生活を送ることが難しい経済的背景を有する層に焦点を当てた研究も行われた。彼は日本社会の貧困問題の一環として、生活保障制度の重要性を強調し、社会全体の福祉を追求しました。

教育への寄与

江口氏は、教授としての活動だけでなく、社会政策に関する通信教育課程も担当し、広く市民に対して知識の普及を図った。教育者としての彼の影響力は、のちに社会福祉や経済の分野で働く多くの若者に受け継がれ、失業や貧困に関する問題への理解を深める一助となった。

江口英一氏の功績は、社会学において貧困研究の重要性を再確認させ、社会福祉に対する関心を高めることに寄与した。彼が残した多くの著作や研究は、今なお多くの学者や実務者に影響を与え続けている。彼の貢献は、未来の社会政策においても重要な指針となるだろう。

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