江戸崎かぼちゃ

江戸崎かぼちゃ

茨城県稲敷市江戸崎地区（旧・稲敷郡江戸崎町）で栽培される「江戸崎かぼちゃ」は、その独特の食感と甘みで知られる特産品です。地理的表示にも登録されており、その品質の高さが保証されています。

特徴

江戸崎かぼちゃは、ホクホクとした粉質感と、まるで粉吹芋のような甘さが特徴です。これは、完熟状態で収穫されることに起因します。通常のかぼちゃは着果後45日程度で収穫されますが、江戸崎かぼちゃは55日以上かけて完熟させてから収穫されます。この完熟収穫により、糖度が大幅に上昇し、特にショ糖の含有量が顕著に増加します。また、デンプンが糖化することで、より甘く、食感も向上します。果皮は濃い緑色でゴツゴツとした質感、果肉は濃いオレンジ色をしています。

栽培環境とこだわり

江戸崎地区は、年間平均気温14.1度、年間降水量1350ミリメートルと安定した気候で、関東ローム層の排水性の高い土壌を有しています。これは、過湿に弱いかぼちゃの栽培に適しており、さらに、落ち葉を数年寝かせた完熟堆肥や有機肥料、畜産堆肥などを利用した土づくりも行われています。

歴史

1966年、江戸崎町君賀地区の7名の生産者がかぼちゃの栽培を開始しましたが、当初は販売に苦労しました。しかし、ある生産者が収穫時期を逃し、完熟状態のかぼちゃを市場に出したところ、「あのカボチャが欲しい」という声が消費者に広がりました。この出来事をきっかけに、生産者たちは「良品に安値なし」を合言葉に、土づくりから栽培管理、販売促進活動まで徹底的に行うようになりました。その結果、着果後55日以上という収穫基準を確立し、苗づくり、土づくり、栽培管理に至るまで統一ルールを設け、品質の維持を徹底しました。生産者同士が互いの圃場をチェックし合い、品質を安定させました。また、土壌診断に基づいた堆肥の投入や、ビニールハウス内の温度管理など、細部にわたる指導が行われています。

さらに、熟度、重量、形状、傷など、全品検査を実施し、品質のばらつきをなくす努力をしました。その結果、市場や仲卸からの信頼を獲得し、「江戸崎かぼちゃ」は安定した品質の農作物として高く評価されるようになりました。都内のスーパーマーケットでの試食会や、贈答用パッケージの開発など、販売促進活動も積極的に行い、ブランド価値の向上に努めています。

1982年には茨城県で初めて「茨城県青果物銘柄産地」に指定され、2015年12月には地理的表示にも登録され、その品質とブランドが公的に認められました。

まとめ

江戸崎かぼちゃは、その美味しさと品質の高さから、市場で高い評価を得ています。生産者の努力と徹底した品質管理が、この特産品を支えていると言えるでしょう。ホクホクとした食感と甘みをぜひご賞味ください。

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