江戸川乱歩の美女シリーズ

江戸川乱歩の美女シリーズ

『江戸川乱歩の美女シリーズ』は、1977年から1994年までの17年間、テレビ朝日系の「土曜ワイド劇場」で放送された人気のテレビドラマシリーズです。このシリーズは、推理小説の作家・江戸川乱歩の作品を元にし、現代的な解釈を加えた内容が特徴であったため、大人の視聴者をターゲットにしていました。そして、メインキャラクターは名探偵・明智小五郎で、彼がさまざまな事件を解決する様子が描かれています。

シリーズでは、原作とは異なる要素が多く盛り込まれています。たとえば、明智小五郎が主役の話だけでなく、明智シリーズとは無関係な作品からもインスパイアを受けたエピソードが含まれています。特に注目されるのは、トップ女優たちによる官能的な演技、カーチェイス、そして事件の真相解明の際に明智が変装を解くシーンなどです。これらの要素が組み合わさることで、視聴者に緊張感と興奮を提供していました。

シリーズは、天知茂が主演した25作品から始まり、その後、北大路欣也や西郷輝彦が続いてそれぞれ6作品、2作品を制作しました。特に天知茂版の25作品はフィルム撮影とVTR編集が施され、当時の美術や演出に特有の魅力を持っています。また、2009年には北大路欣也と西郷輝彦の作品をまとめたDVDボックスが発売され、2015年には天知茂版全25作品を収録したBlu-ray BOXも販売されました。これにより、復刻版を見たい視聴者にとって手に入れやすくなっています。

制作背景

ベテラン監督である井上梅次がこのシリーズの大部分を手掛け、独自の演出スタイルが強く反映されています。たとえば、明智がカメラに向かって語りかけるシーンや、エンディングクレジットが途中で中断されるような演出が特徴的です。また、音楽は全作品にわたって鏑木創が担当し、特に第6作の「妖精の美女」から使われる有名なテーマ曲が視聴者に親しまれています。

登場人物やストーリー

例として「魅せられた美女」というエピソードは、原作の『十字路』からの大幅なアレンジが加えられており、事件が進行する中で明智と美女たちの釣りの楽しむシーンが追加されています。明智の助手や警察関係者も登場し、緻密に絡み合う人間関係が描かれています。また、後期のエピソードではBDSMの要素や、明智の恋愛模様が描かれるなど、より多面的な視点からのストーリーが展開されました。

独自のスタイル

このシリーズで特に有名なのが、明智が犯人の前で変装を解くシーンです。このシーンは、もともと井上監督が現場で思いついたもので、以後シリーズの定番として用いられるようになりました。変装解きの演出や、入浴シーンなども特異な位置づけとしてファンの間では注目されています。

視聴率も高く、とりわけ天知茂版は多くの視聴者に支持されました。物語の構成やキャラクターの魅力によって、このシリーズは日本のテレビドラマの中でも独自の地位を築いています。

2024年からはBS松竹東急で全33作品の放送が開始され、視聴者の新たな注目を集めています。江戸川乱歩の魅力を再発見する素晴らしい機会ともなっています。

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