江戸忍法帖

江戸忍法帖

概要

『江戸忍法帖』は、1960年に発表された山田風太郎による時代小説で、忍法帖シリーズの一環として位置づけられています。この作品は、甲賀七忍との激闘を繰り広げる主人公たちを描いた物語であり、シリーズの中でも特筆すべき長編作品です。

あらすじ

物語の舞台は、五代将軍徳川綱吉の時代。将軍家の重臣である柳沢吉保は、家綱の御落胤、葵悠太郎を抹殺しようと暗躍します。悠太郎は剣の達人であり、吉保は彼を排除するため甲賀の忍者を差し向けました。かつての伊賀の名家、服部半蔵の子孫は途絶え、その後継者である甲賀服部玄斎が彼らの頭領となっています。

悠太郎を討ち取った者には、玄斎の孫娘と首領の称号が与えられるという約束がなされ、争いは一層激化していきます。その過程で、角兵衛獅子の芸人であるお縫は、弟の丹吉を殺害され、復讐の決意を固めます。悠太郎もまた、大切な家臣を失ったことで復讐の戦いに身を投じることになります。この物語は、彼らの復讐劇を中心に展開され、様々な忍法が登場します。

忍法の種類

作品中には、多彩な忍法が存在します。例えば、肉体を鋼鉄のように硬くする「忍法肉鎧」や、逆さに浮くことで相手を斬りつける「忍法流れ星」。また、上空から襲いかかる「忍法むささび落とし」、単眼のひとにらみで相手を操る「忍法幻五郎憑き」など、個性的な技が多彩に描かれています。これらの忍法は、物語に緊張感を与え、主人公たちの戦いに彩りを加えています。

書誌情報とメディア展開

『江戸忍法帖』は講談社から出版され、1960年に初めて公開されました。その後、同作品は映画やテレビドラマとしても制作されました。1963年には映画『江戸忍法帖 七つの影』が公開され、1964年から1966年にかけてテレビドラマが放送されました。ドラマ版では、山城新伍や花園ひろみらがキャストとして出演し、多くの視聴者に親しまれました。

キャラクターとキャスト

主要キャストには、葵悠太郎役の山城新伍、お縫役の花園ひろみ、弟の丹吉役の松原マモルがいます。彼らは、物語の展開に深く関わり、視聴者に強い印象を残します。また、甲賀七忍を演じる俳優たちも多彩で、それぞれの忍者が持つ個性を表現しました。

まとめ

『江戸忍法帖』は、忍法と復讐が交錯するスリリングな物語です。山田風太郎の独自の視点で描かれたこの作品は、時代小説としての魅力を持ち、忍者ファンや歴史小説愛好者にとって欠かせない作品となっています。

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