江戸相撲会所

江戸相撲会所の歴史と役割

江戸相撲会所（えどすもうかいしょ）は、江戸時代から明治初年にかけて存在した相撲の職業団体であり、現在の日本相撲協会の源流にあたります。その設立は、当時の相撲界における様々な変遷と社会的背景を反映しています。

起源と設立の背景

江戸での相撲の源流は、初期の相撲取りたちが大名家に仕官していた時代にまで遡ります。しかし、年を重ねた相撲取りたちが役職を解かれ、相撲浪人と呼ばれるようになった後、彼らが新たな立場を得ることとなりました。1684年（貞享元年）、雷権太夫をはじめとする15名の相撲浪人が協力し、株仲間を結成しました。彼らは相撲興行を行うため、寺社奉行に対して寄進を名目とした公認を取得し、これが江戸相撲会所の始まりとなります。

力士の育成と興行の独占

江戸相撲会所は、興行の公認を得た後、独自の力士育成にも乗り出しました。勘定や対外折衝を行う専門家が現れ、相撲興行を生業とする者たちが増殖しました。享保年間には、これらの事業を独占的に進める権利が彼らに与えられるようになりました。これにより、相撲興行は江戸相撲会所の専売特許となりました。また、勧進元（興行主）の役割も重要で、彼らは相撲興行ごとに持ち回りで実施しました。

役職と権力構造

江戸相撲会所内では、筆頭、筆脇、組頭、組下、平年寄などの役職が設けられ、特に筆頭と筆脇が多大な権限を行使しました。これらの職務は、歴代の雷や錣山といった一部の年寄によってほぼ独占的に占められました。収益の大部分は勧進元の手に入り、相撲興行の成功には、後援する商家の協力が欠かせませんでした。興行の失敗を避けるための仕組みが整えられ、これが後に相撲茶屋の基盤となります。

明治時代への移行

明治に入ると、高砂改正組事件が起こり、相撲界に新しい変化が訪れました。高砂浦五郎が権力を握り、数々の改革を進めます。1889年（明治22年）には「東京相撲協会」に改称されました。その後、1927年（昭和2年）には大阪相撲との合併が実現し、「大日本相撲協会」が成立しました。

江戸相撲会所は、現在の相撲協会の基盤を築いた重要な組織であり、相撲界の発展に多大な寄与をしたと言えるでしょう。

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