江戸重通

江戸重通の生涯

江戸重通は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将で、常陸江戸氏の9代目当主です。常陸国水戸城を拠点としていました。江戸氏は、藤原北家魚名流の末裔とされる川野辺氏から派生した那珂氏の傍流にあたります。

1556年、江戸通政の嫡男として生まれた重通は、1567年に父の死により家督を継承しました。当時、関東では北条氏の勢力が拡大しており、重通は佐竹義重に半ば従属する形で北条氏に対抗しました。1570年には元服し、佐竹義重から偏諱を受け「重」の字を名乗るようになりました。

1575年、重通は真言宗の僧侶に絹衣の着用を許可したことが問題視されます。朝廷や織田信長から問責を受けたものの、これを逆手に取り、朝廷や信長に接近して1576年には従五位下・但馬守に任官されました。

しかし、北条氏の攻勢は激しく、1578年に重通は北条氏と和睦しました。その後、佐竹氏と北条氏の両方に働きかけ、大掾氏や鹿島氏の討伐の許可を得て、1587年に鹿島郡を制圧、翌年には佐竹義重の援軍を得て大掾清幹を降伏させました。

急速な勢力拡大は、家臣団の離反を招き、江戸氏は衰退に向かいます。1590年の小田原征伐の際には、大掾清幹が豊臣秀吉に謝罪を依頼する書状を送るなど、江戸氏と大掾氏は、秀吉への参陣を望んでいましたが、互いの攻撃を恐れて動けませんでした。佐竹義宣は、この状況を常陸統一の好機と捉え、両氏の執り成しを黙殺し、秀吉から常陸全域の支配を認められます。

同年12月、佐竹義重の攻撃により水戸城を落とされた重通は、結城晴朝のもとへ逃れました。佐竹軍はさらに南下して府中城を攻略し、大掾氏も滅ぼしました。1598年、重通は43歳で生涯を終えました。

重通の子である水戸宣通は、越前国の結城秀康に仕えました。

江戸重通に関する補足

重通は、佐竹氏や北条氏といった有力大名の間で、巧みな外交を展開し、自らの勢力拡大を図りました。朝廷や織田信長との関係を構築するなど、抜け目のない一面も見せています。しかし、その一方で、家臣団の掌握に失敗し、内部分裂を招いたことも事実です。また、小田原征伐における状況判断の甘さが、最終的に水戸城を失う要因となりました。江戸重通は、戦国時代の激しい波の中で、独自の戦略と外交手腕を発揮した武将であったと言えるでしょう。

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