江森英世

江森 英世（えもり ひでよ）

東京都出身の数学教育学者、江森英世は、1959年9月に生を受けました。教育分野、特に数学教育学と科学教育学を専門とし、長年にわたり大学で教鞭を執りながら、教育研究と次世代の育成に尽力しています。現在は群馬大学教育学部教授および大谷大学教育学部教授（2018年より）を務めており、かつては群馬大学教育学部附属小学校の校長も兼任しました。その教育手腕は高く評価され、平成18年度には第1回群馬大学ベストティーチャー最優秀賞を受賞するなど、輝かしい実績を持っています。また、その活動は国際的にも認められており、世界人名辞典『Who'sWho in the World 27th Edition』（2010年版）にも名を連ねています。

来歴と人物

江森氏の学術的な道のりは、1983年3月に千葉大学理学部数学科を卒業したことから始まりました。その後、教育学の探求を深めるため、筑波大学大学院博士課程教育学研究科に進学し、1994年3月に単位取得満期退学しています。研究者・教育者としてのキャリアは、1994年4月に関東学院大学工学部専任講師としてスタートしました。同大学で1997年4月には助教授に昇任。2000年4月には宇都宮大学教育学部助教授に転じ、その後2005年4月に群馬大学教育学部助教授として着任しました。群馬大学では、2007年4月に准教授、2009年4月には教授へと昇進し、現在に至るまで教育研究活動の中心的な役割を担っています。大学での教育活動においては、実践力を重視した質の高い授業を提供することで知られ、学生からの人気も非常に高く、優れた教員として多くの信頼を集めています。これまでに、多くの学生を教員として教育現場に送り出し、日本の教育の発展に大きく貢献しています。

研究分野

江森氏の専門は、数学教育学と科学教育学に跨がります。特に、数学教育学における「数学的コミュニケーション論」は、その研究活動の核をなす領域です。氏は、数学学習の場面におけるコミュニケーションがどのように行われ、それが学習者の理解や思考の発達にどのように影響するかを深く掘り下げています。具体的には、「数学学習におけるコミュニケーション連鎖の研究」を主要なテーマとし、数学的コミュニケーションのプロセス、それに伴う学習者の認知過程、そして予期せぬ発見や新しい理解が生まれる「創発性」といった概念に焦点を当てた研究を展開しています。これらの研究は、数学教育の質の向上や、より効果的な学習指導法の開発に重要な示唆を与えています。

教育活動と主要業績

大学では、主に将来教員を目指す学生たちに向けて、小学校や中学校の算数・数学科の指導法に関する講義を担当しています。理論だけでなく、実際の教育現場で役立つ実践的な知識と技能の習得を重視した指導を行っています。研究成果は、数多くの著書や論文として公表されています。代表的な著書としては、長年の研究成果をまとめた『数学学習におけるコミュニケーション連鎖の研究』（風間書房、2006年）があります。また、主要な論文には、数学教育学論究に掲載された『数学の学習場面におけるコミュニケーション・プロセスの分析』（1993年）や『数学的コミュニケーション参画者の認知過程』（2000年）、科学教育研究に掲載された『高度に凝縮された数学的メッセージの分析』（1996年）などがあり、これらは日本の数学教育学分野における重要な貢献として評価されています。これらの業績を通じて、数学教育におけるコミュニケーションの重要性を広く提唱し、研究分野の発展を牽引しています。

所属学会

江森氏は、専門分野の発展と普及のため、国内外の様々な学術団体に所属し、積極的に活動を行っています。現在、主に以下のような学会に所属しています。

日本数学教育学会
日本科学教育学会
全国数学教育学会
日本数学心理学会

これらの活動を通じて、最新の研究成果を共有し、他の研究者や教育実践者との連携を深めることで、日本の数学教育・科学教育の更なる発展に貢献し続けています。

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