池上彰の新聞ななめ読み

池上彰の新聞ななめ読み

『池上彰の新聞ななめ読み』は、著名なジャーナリスト池上彰が朝日新聞に連載していたコラムで、2007年4月から2010年3月までの期間にわたって、さらには2015年までの再開を経て最終回を迎えました。

概要

このコラムは、特定の事件やトピックを取り上げ、それに関連する新聞記事を比較検討する形で展開されるもので、池上が独自の視点から意見を述べる内容となっています。特に朝日新聞の記事に対する批判も自由に行うことが許可されており、池上の鋭い分析が多くの読者に支持されました。最初の連載は、毎週月曜の夕刊として始まり、2010年からは月1回の掲載となりました。

連載の途中、池上は自身の70歳を過ぎたライフスタイルの見直しを理由に、2021年3月26日の掲載をもって連載終了を決定。これには特にトラブルがあったわけではないと明言しています。

連載中止問題

2014年の連載中、池上は朝日新聞の従軍慰安婦報道に関する検証の不十分さを厳しく指摘したことが原因で、コラムの掲載が拒否される事態が発生しました。これを受け、池上は朝日新聞との信頼関係が損なわれたとして連載の中止を申し入れたのです。翌月には朝日新聞がコラムの掲載を再開し、池上もその後の検証を見た上で連載再開に至ります。

この一連の騒動は、朝日新聞内部の記者たちの反発を生み出し、多くの記者が自社の対応を批判する声を上げました。朝日新聞の信頼性が揺らぎ、購読者が減少したことも大きな影響を及ぼしました。また、他の競合新聞社はこれを商機と捉え、朝日新聞を批判するキャンペーンを展開したケースもあります。

新聞界への影響

この事件を契機に、朝日新聞はパブリックエディター制度を導入しました。これは、読者の声を報道に反映させる試みとして評価され、池上自身も再開の理由の一つとしてこの制度を挙げています。池上はまた、連載最終回で、従来の報道姿勢が変わりすぎたことを指摘し、特ダネを他のメディアに奪われるようになったことも踏まえ、信頼を取り戻す難しさを訴えました。

関連書籍

池上の知見を活かした書籍もあり、2010年には『池上彰の新聞活用術』が出版されるなど、多くの人々に影響を与えています。このように、『池上彰の新聞ななめ読み』は、ただのコラムにとどまらず、新聞との向き合い方やメディアリテラシーについて考えるきっかけを提供しているのです。

最後に

池上のコラムは、単なる情報の伝達にとどまらず、読者に考えさせる力を持っています。時代の変化に伴った新聞の役割や、新しいメディア環境への適応について考える貴重な糧となりました。これからの報道がどのように進化していくのか、引き続き注目が必要です。

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