池清

池清：朝鮮総督府官僚から徳山市長へ

池清（いけ きよし、1895年6月10日 - 1952年10月17日）は、朝鮮総督府の官僚としてキャリアを積み、戦後は徳山市（現在の周南市）の市長として市政に貢献した人物です。

生い立ちと朝鮮総督府での活躍

池清は、山口県都濃郡徳山町（現在の周南市）の出身です。1917年に逓信官吏練習所を卒業後、朝鮮総督府逓信局に勤務しました。1925年には高等試験行政科に合格し、その後は朝鮮総督府逓信局副事務官、京城貯金管理所主計課長、朝鮮総督府逓信事務官、逓信局庶務課長、高等海員審判所理事官、新義州税関長など、様々な要職を歴任しました。最終的には、朝鮮総督府農林局林政課長兼土地改良課長から平壌府尹に就任し、終戦を迎えました。これらの経歴から、池清が行政官僚として非常に優秀であったことが伺えます。

徳山市長としての挑戦

終戦後、日本に引き揚げた池清は、1947年に徳山市助役に就任し、故郷の復興に尽力しました。1951年の徳山市長選挙では、「市政の刷新」「健全財政化」「産業の振興と工場誘致」「学校の建設と充実」といった公約を掲げ、激戦を制して見事当選を果たしました。当時の徳山市は戦後の混乱から立ち直る途上にあり、池清に寄せられた期待は非常に大きなものでした。

市長在職中、池清は徳山駅前の区画整理事業を完成させ、周南都市圏振興協議会の発足、市の出張所の整理統合、市営大津島刈尾海水浴場の開設、市社会福祉協議会の発足など、様々な事業を推進しました。これらの実績は、池清が掲げた公約の実現に向けた具体的な取り組みであり、徳山市の発展に大きく貢献したと言えるでしょう。特に、徳山駅前の区画整理事業は、都市の景観を大きく変え、市民生活の利便性を向上させるものでした。

病と短い市長としての生涯

しかし、池清の市長としての活躍は長くは続きませんでした。病に倒れ、1952年8月24日付で市長を辞職。治療に専念しましたが、同年10月17日に死去しました。徳山市長としての在任期間は短かったものの、その間に成し遂げた数々の業績は、今日の周南市の礎となっています。

池清の生涯は、激動の時代を生き抜き、故郷の発展のために尽力した一人の官僚の姿を鮮やかに描き出しています。彼の功績は、今後も周南市民に語り継がれていくことでしょう。

参考文献

『輓近大日本拓殖史』、日本行政学会、1934年。
『日本官界名鑑』昭和十七年版、日本官界情報社、1942年。
* 歴代知事編纂会編『日本の歴代市長』第3巻、歴代知事編纂会、1985年。

もう一度検索