汪洋

汪洋（ワン・ヤン）

汪洋（ワン・ヤン、1955年3月12日 - ）は、中華人民共和国の政治家です。中国共産党において重要な地位を歴任し、党内序列第4位にまで上り詰めました。

経歴

汪洋は安徽省の貧困家庭に生まれ、文化大革命の時代に労働者としてキャリアをスタートさせました。その後、中国共産党に入党し、党中央党校で政治経済学を学びました。共産主義青年団での昇進を経て、安徽省の要職を歴任し、1993年には最年少で副省長に就任しました。

朱鎔基内閣、温家宝内閣でも要職を歴任し、2005年には重慶市党委書記、2007年からは広東省党委書記を務めました。2007年、中国共産党中央政治局委員に選出され、胡錦濤党総書記に抜擢された共青団派の一員として注目を集めました。

広東省党委書記時代には、寒波によるインフラ被害や世界的な景気後退といった問題に直面しました。衰退産業を省外に移転させ、質の高い成長を目指す「騰籠換鳥」政策を打ち出しましたが、温家宝国務院総理との対立を招きました。また、GDP成長率に固執しない姿勢を示し、構造改革や産業の淘汰を主張しました。これらの政策は「広東モデル」と呼ばれました。

2009年には、重慶市で薄熙来によって大規模な汚職追放キャンペーンが展開され、汪洋との対立が表面化しました。

2013年、李克強国務院総理の下で国務院副総理に就任し、2017年には党中央政治局常務委員会委員に選出されました。2018年、中国人民政治協商会議全国委員会主席に就任しました。

2022年、中国共産党第二十回全国代表大会において、定年を迎える前に中央政治局委員から外れました。

人物像

汪洋は率直で分かりやすい発言で知られ、記者団のインタビューにも積極的に応じています。言論の自由に対して比較的寛容であり、「ケーキ理論」を提唱し、新産業の育成や経済の活性化に熱心な改革派として評価されています。

米中経済関係については、「夫婦」の関係に例え、離婚はありえないと発言しました。

広東モデル

汪洋が広東省党委書記時代に推進した「広東モデル」は、経済成長の質を重視し、構造改革や産業の淘汰を積極的に行うものでした。GDPの数値目標に固執せず、持続可能な発展を目指す姿勢が特徴です。しかし、この政策は中小企業の切り捨てや失業者対策の不備といった批判も受けました。

汪洋の政治手腕は、中国の経済発展と社会構造の変化に対応しようとする姿勢に表れています。彼の改革は、中国の将来に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

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