沈黙 -サイレンス-

映画『沈黙 -サイレンス-』の概要

『沈黙 -サイレンス-』（ちんもく サイレンス）は、2016年に公開されたアメリカの歴史ドラマ映画で、遠藤周作の名作小説『沈黙』を原作としています。この映画は、著名な監督マーティン・スコセッシによって制作され、脚本はスコセッシ自身とジェイ・コックスが共同で手がけました。主要なキャストにはアンドリュー・ガーフィールド、リーアム・ニーソン、アダム・ドライバーといった実力派の俳優たちが揃い、日本ではKADOKAWAが配給し、2017年1月21日に公開されました。

映画の内容は、17世紀の日本におけるキリスト教の布教と、それに対する厳しい迫害をテーマにしています。特に、隠れキリシタンたちの信仰や苦悩、信者同士の絆が描かれており、彼らが信仰を守るためにどのように苦しんでいるかが生々しく表現されています。日本での公開に際しては、激しい迫害や拷問・処刑のシーンが含まれているために年齢制限が設定されており、日本ではPG12、アメリカではR指定となっています。また、映画の特徴には、劇中にほとんどBGMが流れないことが挙げられます。

ストーリーの展開

物語は、ポルトガルにおけるイエズス会の宣教師、セバスチャン・ロドリゴ神父（アンドリュー・ガーフィールド）とフランシス・ガルペ神父（アダム・ドライバー）が日本で棄教したとされる師、クリストヴァン・フェレイラ神父（リーアム・ニーソン）を探しに日本に渡るところから始まります。彼らは、密入国を手引きした日本人漁師、キチジロー（窪塚洋介）の助けを借りて、長崎県のトモギ村にたどり着きます。

村には、隠れキリシタンたちがいて、迫害の中でも信仰を捨てずに祈り続けていました。しかし、村がキリシタンであることが奉行によって発覚し、彼らの信仰が試される事態が発生します。奉行は村人たちに踏み絵を強要し、信者たちは過酷な選択を迫られることになります。特に、ロドリゴ神父は信者たちが苦しむ姿に哀悼を感じ、なぜ神はこのような苦しみを与えるのか思い悩む場面が印象的です。

物語が進むにつれて、ロドリゴ神父は自らの信仰と生存の選択に直面し、遂には棄教を選ぶことになります。そして1641年、日本での生活を強いられたロドリゴ神父は、やがてキリスト教の象徴を隠したまま生涯を終えることになります。

受賞歴と評価

本作は、公開後に多くの映画批評家から高い評価を得ました。特に、スコセッシの監督技術や俳優たちの演技力に注目が集まり、2016年のタイム誌の企画「Top 10 Everything of 2016」においては、「2016年に公開された映画のトップ10」の第5位にも選ばれました。

『沈黙 -サイレンス-』は、宗教、信仰、そして個々の人間の苦悩と選択について深く考えさせる重厚な作品であり、視聴者に感動を与えると同時に、歴史的な教訓を浮かび上がらせます。観客は、これを通して日本のキリスト教の歴史や、信仰に対する人々の姿勢を学ぶことができます。

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