沓掛時次郎 (橋幸夫の曲)

沓掛時次郎

『沓掛時次郎』（くつかけときじろう）は、1961年7月5日にビクターレコードからリリースされた橋幸夫の10枚目のシングルです。この楽曲は、橋の映画『沓掛時次郎』の主題歌として制作されました。

背景と制作の経緯

この曲が生まれるきっかけとなったのは、橋幸夫のシングル「おけさ唄えば」が映画化された際、その作品に市川雷蔵が出演したことにあります。雷蔵が一回り若い橋を気に入ったことから、大映側より「雷蔵主演で『沓掛時次郎』を製作するので、主題歌を歌ってほしい」という依頼が橋のもとに届きました。

橋はこの依頼を受け、佐伯孝夫が歌詞を、吉田正が作曲を手掛ける形で楽曲が作り上げられました。佐伯は信州を舞台にした股旅物の作品を得意としており、この楽曲もその影響を色濃く反映したものとなっています。吉田は、こうした曲作りにおいて「時代小説を読むようなスピード」で創作を進めていたと、彼の妻が回想しています。

音楽的特徴と評価

『沓掛時次郎』は、いささか難易度が高く、起伏に富んだメロディーが特徴です。吉田正は、この曲が橋幸夫にとっての成果をはっきりと示すものだと評価しています。橋の初期の股旅物のなかでも人気が高く、関連するベストアルバムには多く収録されています。

なお、カップリングとして収録された「浮名の渡り鳥」も、映画『沓掛時次郎』の主題歌として使われ同様に評価されています。

振付とジャケット

楽曲の振付は、橋幸夫の踊りの師匠である花柳啓之によって行われました。ジャケットには、その踊り方が図示されており、視覚的に音楽を楽しむ要素が取り入れられています。

商業成績

このシングルは、1961年に25万枚以上を売り上げ、ビクターの年間ヒット賞を獲得しました。これは、橋にとって大きな成功を意味しており、彼のキャリアの中でも特に重要な一曲となっています。

収録アルバム

『沓掛時次郎』は、以下のようなさまざまなアルバムに収録されています：

• - 『橋幸夫ベストヒット』(2015年7月10日)
• - 『吉田正作品集／橋幸夫』(2004年5月21日)
• - 『橋幸夫全曲集』(2003年11月26日)
• - その他、多数のベスト盤や特集アルバムに収録されています。

映画での歌唱

映画『沓掛時次郎』では、橋幸夫は主題歌のみを歌っており、映画自体には出演していません。映画用に録音された歌は、リリースされたシングルとは異なり、歌詞の一部が改変されており、映像の内容に合ったものになっています。

まとめ

『沓掛時次郎』は、橋幸夫の代表作の一つであり、彼の音楽家としての成長を示す重要な楽曲です。そのストーリー性やダンスの要素、映画との結びつきにより、今なお高い人気を誇っています。

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