沖縄返還協定

沖縄返還協定の歴史と意義

沖縄返還協定とは、1971年6月17日に日本とアメリカの間で署名された、沖縄県の施政権移転に関する合意のことです。この協定は公式には「琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定」と呼ばれています。沖縄の施政権がアメリカから日本に返還される重要なステップとして位置付けられています。

策定背景

1971年の沖縄返還協定に至るまでの日米の関係は、1969年11月に行われた佐藤栄作総理とリチャード・ニクソン大統領の首脳会談にまで遡ります。この会談を経て発表された共同声明に基づき、沖縄返還の道筋が具体化しました。協定の署名は、東京都とワシントンD.C.で同時に行われ、日米両国の首都を繋ぐ形で歴史的な瞬間が演出されました。

協定の概要

沖縄返還協定は前文と9つの条文から構成されており、付属文書　と共に、返還に際する具体的な取り決めがなされています。主な内容は以下の通りです。

1. 沖縄の施政権を日本に返還する。
2. 返還後も日米間の条約や協定、特に安保条約を有効に適用する。
3. 米軍基地の大部分を維持し、機能を継続する。
4. 一部の基地機能は自衛隊によって補完し、日米の相互防衛体制が強化される。
5. 沖縄県民の対米請求権を放棄する。
6. 在沖米軍の資産引き渡しのため、日本側は3億2000万ドルを支払う。
7. 裁判の効力を原則的に引き継ぐ。
8. 沖縄のVOA通信所は返還後もしばらく存続する。

この協定は、沖縄の施政権を日本に返還するだけでなく、返還後も米軍が沖縄に残ることを前提とした点で、様々な議論を呼びました。特に、米国は交渉の過程で沖縄に配備されている核兵器の使用許可について日本側に通知しており、日米の間で『核抜き、本土並み、1972年』とされる方針が曖昧に映ることもありました。

付属文書

沖縄返還協定には、以下のような付属文書があります：

• - VOA中継局運営に関する交換公文
• - 海没地についての交換公文
• - 合意議事録
• - 施設・区域に関する了解覚書
• - 民間航空に関する了解覚書
• - 外国人および外国企業の取扱いに関する愛知外務大臣書簡

これらの文書は協定の各細目や条件、運用に関する具体的なルールを定める役割を果たしています。

結論

沖縄返還協定は、日本国民にとって非常に重要な意味を持ち、沖縄における日米関係の基礎を築くものでした。この協定により、日本は沖縄を正式に47番目の都道府県として受け入れ、しかし同時に米軍基地問題や日米安全保障条約の継続適用といった複雑な課題を抱えることとなります。その後の沖縄の歴史や社会情勢に大きな影響を及ぼし続けることとなるのです。

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