沖縄電気

沖縄電気の歴史と電力事業の概要

沖縄電気（おきなわでんき）は、20世紀初頭に沖縄県で設立された電力会社で、主に那覇市を中心に電気を供給していました。この企業は、路面電車の運営にも関わっており、独自の歴史を持っています。沖縄電気の設立背景や経営の変遷、そしてその影響を受けた路面電車事業について詳しく見ていきましょう。

電力事業の始まり

沖縄電気の起源は、1908年に大阪の才賀電機商会が沖縄へ進出したことにあります。この会社は、全国展開を目指す中で沖縄に出張所を設置し、2年後の1910年には電力供給事業の許可を得て、沖縄電気が設立されました。同年12月には那覇市内に発電所が完成し、那覇や首里、島尻郡に電気を供給し始めました。

しかし、大正時代に入り、才賀電機商会は急激な事業拡大により資金繰りが困難になり、経営が破綻します。その後の沖縄電気は、日本興業に管理され、新たな運営体制に移行しました。1927年には東京資本による運営が始まるも、老朽化した施設の維持に苦しみ、1939年には球磨川水電の系列に編入されました。最終的には1944年の太平洋戦争末期に、アメリカ軍の攻撃により発電機能が停止してしまいます。

軌道事業の展開

沖縄電気は、電力供給の他に那覇と首里を結ぶ電気軌道の設立も計画しました。1910年には軌道敷設の許可が下り、1911年5月には沖縄電気軌道が設立されました。1912年に着工が始まり、1914年には大門前から首里までの区間が開業しましたが、試運転中にはトラブルが続出し、初期の利用者は思ったほどではありませんでした。

開業当初の一日当たりの輸送人員は、予想の四分の一程度にとどまるなど、早くも経営難が表面化しました。そのため、沖縄電気は軌道事業の直営化を決定し、1915年には沖縄電気軌道を買収し、事業の運営を引き受けました。

1917年には全線が開業し、運行は安定を見せますが、1929年にバス路線が開設されると、輸送人員が急減し、再び経営が難しくなりました。以降、さまざまな対策を講じるも、1932年には軌道事業から撤退を決定し、1933年には全線の運行を休止しました。最終的に、残る路線も全て廃止され、沖縄電気軌道の歴史は幕を閉じました。

路線データと運行形態

沖縄電気軌道の路線は、通堂から首里までの約6.9kmで、起終点を含む20駅が設置されました。全線の運行は直流500Vで動力供給され、所要時間は約32分、日中の運転間隔は9〜18分でした。初期の利用者が多かった際には、特定の区間での間引き運転が行われていました。

車両とその特徴

沖縄電気軌道で運行された車両は、全て木造車体の2軸車で、当時の標準的な形態の電車でした。1912年に製造された車両は、大門前から首里間の開業時に投入され、沖縄の電車運行の初期を支えました。

廃線後の遺構と現在の状況

沖縄電気軌道の多くの路線は、現在の道路に重なって敷設されており、事業廃止後に軌道の撤去が行われました。沖縄戦による影響で、残された遺構もほとんどが破壊されていますが、最近、那覇市松川の民家の庭先で約5メートルのレールが発見され、これが沖縄電気軌道のものであると確認されました。このレールはその後、沖縄都市モノレールに寄贈され、展示されています。

このように、沖縄電気の電気事業と軌道事業は、沖縄の交通史や電力供給の歴史において重要な役割を果たしました。今では貴重な歴史として、後世に語り継がれています。

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