沢井箏曲院

沢井箏曲院について

沢井箏曲院は、箏の生田流に属する社中の一つであり、1979年に創始者の沢井忠夫によって設立されました。現在の会長は沢井比河流氏が務めています。

歴史

1979年、東京・霞が関で発会式が行われ、沢井箏曲院が誕生しました。翌1980年には、資格認定審査と試験が開始され、組織としての基盤が築かれました。2009年には、創立30周年を記念した公演が開催され、その歴史を振り返りました。

組織

沢井箏曲院は、国内に9つの支部（北海道、東北、関東、北陸、東海、関西、中国、四国、九州）を置いています。2007年時点での会員数は約3,000名にのぼり、国内外で活発な活動を展開しています。海外には、1986年に設立されたハワイ支部と、1989年に設立されたシドニー支部の2支部があります。また、ニューヨークには沢井箏曲院会員の教室があり、日本人だけでなく、現地の人々も多く参加しています。

歴代会長

初代: 沢井忠夫
二代目: 沢井比河流

また、初代会長の妻である沢井一恵氏は、坂本龍一に作曲を委嘱するなど、比較的自由な音楽活動を行っています。

「箏曲院」の由来と現状

「箏曲院」という名称は、従来の箏曲界における「家元制度」とは異なる組織を創設するという理念のもとで生まれました。しかし、現在は会長が家元となり、家元制に近い形となっています。ただし、組織内には、先代の弟子である講師と会長の力関係の逆転や、会員以外に影響力を持とうとする講師、他社中の家元が門下生組織にレギュラー参加するなど、様々な課題も存在します。一部の講師からは、「国内では自由に活動できないため海外に行った」という意見も出ており、家元制に対する理解は必ずしも十分とは言えない状況です。

特徴

沢井箏曲院の演奏スタイルには、以下のような特徴があります。

初代沢井忠夫の流れを汲む強いタッチ
9本締めとも言われる強い糸の張り
音を止めない奏法
現代曲を中心としたレパートリー
洋装での立奏が多い

これらの特徴は、従来の箏曲とは異なる、現代的でダイナミックな演奏を生み出しています。一方で、糸の張りが強すぎるために、一部の伝統的な奏法が難しくなるなどの課題も抱えています。また、音楽的な意識が強いためか、和装を好まない奏者が多いという傾向もあります。

会員システム

一般的な初伝・中伝・奥伝・名取といったシステムとは異なり、講師資格という形の試験が存在しますが、システムとしては同様のものです。プロの演奏家集団として高い技術を誇る演奏家が多数在籍していますが、レパートリーが現代曲中心であるため、会員数はそれほど増加しない側面もあります。

関係の深い人物

市川慎（箏演奏家）

退会した人物

森川浩恵（箏演奏家）：テレビ番組「たけしの誰でもピカソ」等に出演。会員名簿には名前があるため、在籍している可能性もあります。

外部リンク

沢井忠夫記念館
沢井箏曲院公式サイト
沢井箏曲院創立30周年記念特設サイト

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