沢本忠雄

沢本忠雄：映画、テレビ、舞台を彩った俳優の生涯

沢本忠雄（1935年7月2日 - 2022年6月5日）は、日本の俳優として長く活躍した人物です。三重県松阪市出身で、数々の映画やテレビドラマ、舞台作品に出演し、幅広い世代に知られています。元妻は女優の白木万理です。

日活時代とスターへの道

1958年、日本大学芸術学部映画科を卒業後、日活に入社しました。デビュー作は南田洋子主演の『雌花』ですが、それ以前には『素足の娘』でエキストラとして出演しており、この経験が後のキャリアに繋がりました。当初は小林旭、川地民夫らと「三悪トリオ」として売り出されましたが、沢本自身はアクションが苦手であり、苦労もあったようです。しかし、1958年の『十代の恋よさようなら』で初主演を果たし、その後『嵐を呼ぶ友情』『群衆の中の太陽』『青春蛮歌』『祈るひと』など数々の作品に出演し、日活映画を代表する俳優の一人となりました。

フリー転身後の活躍

1963年、日活を退社してフリーとなり、映画では主演38本、準主演25本に出演するなど、幅広い役柄を演じました。特に花登筺作品への出演が多く、『あかんたれ』や『どてらい男』などで高い人気を獲得しました。

実は沢本自身は、日活入社当初は映画制作の裏方として働くことを希望していました。しかし、俳優としての才能が開花し、主演作の宣伝費用を伝えられて、俳優の道に進むことを決意せざるを得なかったというエピソードがあります。

テレビドラマ、舞台、そして晩年

テレビドラマではNHKの連続テレビ小説を始め、『我が青春』『沓掛時次郎』『判決』『道頓堀』『どてらい男』『あかんたれ』など多くの作品でレギュラー出演を果たしました。また、『キイハンター』や『水戸黄門』などにもゲスト出演するなど、活躍の場は多岐に渡りました。

舞台においても、江利チエミ、新珠三千代、八千草薫、池内淳子、岡田茉莉子、十朱幸代、小川知子、佐久間良子、山本陽子、市原悦子など、そうそうたる女優陣との共演を果たし、『細雪』では800回連続公演にも参加するなど、精力的に活動しました。さらに、司会業などもこなし、『ジェスチャー』、『歌のグランド・ヒットショー』、『モーニング・スポーツ』などの番組に出演しています。

2001年にはリゾートトラストの会員制リゾートホテル「エクシブ鳥羽＆アネックス」の企画プロデューサーに就任し、CS（顧客満足）執行委員長を務めるなど、第二の人生でも活躍しました。

2022年6月5日、肺炎のため86歳で死去しました。

受賞歴

1957年：映画スター新人賞
読売テレビ賞（『道頓堀』）
大阪記者協会賞（『あかんたれ』）

著書

『役者人生 ひとり旅』（2010年、夕刊三重新聞社）

沢本忠雄は、映画、テレビ、舞台と様々な分野で活躍し、日本のエンターテイメント界に大きな足跡を残した俳優でした。彼の活躍は、これからも多くの人々の記憶に刻まれることでしょう。

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