河よりも長くゆるやかに

河よりも長くゆるやかに

『河よりも長くゆるやかに』は、吉田秋生による日本の漫画作品で、『プチフラワー』（小学館）にて1983年から連載されました。1985年には『吉祥天女』と共に、小学館漫画賞を受賞しています。また、文庫版には夢枕獏による巻末エッセイが掲載されています。

あらすじ

物語の舞台は、米軍基地のある町。主人公の能代季邦は、姉の幾世と二人暮らしをしています。両親の離婚後、母親に引き取られるも、母親はすぐに亡くなり、父親からの養育費で生活しています。姉の幾世は水商売で生計を立て、季邦もまた、米兵相手のゲイバーでアルバイトをしています。

かつてはバスケットボールに打ち込む真面目な少年だった季邦は、父親の不倫が原因で性格が屈折してしまいます。ガールフレンドのみどりとは肉体関係を持つものの、共通の話題を見つけるのに苦労しています。そんな中、季邦は米兵相手の女性斡旋が露見し、地回りにリンチを受けているところを米兵のジェイムズ・ダン（通称ポパイ）に助けられます。ポパイと幾世は急速に親密になりますが、米兵との恋が成就しないことを知る季邦は、不安な気持ちで見守ります。

アルバイト先のゲイバーで、深雪の父親が心臓発作を起こし、駆けつけた深雪は季邦のアルバイトを知ってしまいます。口封じのために深雪を女装させ舞台に立たせたところ、深雪は女装姿を気に入り、危ない世界に足を踏み入れそうになります。この一件で、季邦と深雪は悪友となり、幼馴染の神田秋男を加え、基地の街で青春を謳歌していくことになります。

登場人物

能代 季邦（のしろ としくに）：通称トシ。両親の離婚後、姉と二人暮らしをしている。中学時代はバスケで全国大会に出場した経験を持つ。
久保田 深雪（くぼた みゆき）：バスケ部のキャプテン。悪徳サラ金業を営む父親を持つ。ゲイバーで季邦と知り合い、女装をさせられたことから悪友となる。
神田 秋男（かんだ あきお）：季邦の幼馴染。父親同士が知り合い。
能代 幾世（のしろ いくよ）：季邦の姉。クラブで働いており、季邦を助けた米兵のジェイムズ・ダンと交際を始める。
正子（しょうこ）：幾世と同じクラブで働く女性。季邦の父親の再婚相手に似ており、季邦の好みのタイプ。ヤクザのヒモに暴力を振るわれている。
みどり：名門の私立女子校に通う季邦のガールフレンド。季邦とは肉体関係を持つ。
ジェイムズ・ダン：基地で働く整備兵。通称ポパイ。リンチを受けていた季邦を助けたことがきっかけで、幾世と交際を始める。
三原 順子（みはら よりこ）：季邦の中学時代の同級生。季邦に好意を抱いていたが、みどりと季邦を仲を取り持った。

連載情報

* 『プチフラワー』（小学館）にて1983年から連載。

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