河原崎権之助

河原崎権之助：江戸歌舞伎を彩った名跡

河原崎権之助は、江戸時代から続く由緒ある歌舞伎役者の名跡です。屋号は山崎屋、定紋は角違いに二つ巴、替紋は撫子と、伝統を受け継ぐ象徴が用いられています。 江戸河原崎座の座元を務めた名跡でもあることから、歌舞伎界におけるその歴史的意義は非常に大きいと言えるでしょう。

初代河原崎権之助は越前山崎の出身で、河原崎座の創設者として知られています。その後、七代目まで続く権之助の名跡は、血縁関係や養子縁組によって受け継がれていき、それぞれの代に個性豊かな名優が誕生しました。

二代目は初代の子もしくは養子、三代目は二代目の養子、四代目は三代目の子と、比較的順調に家系が受け継がれていった様子がうかがえます。特に四代目河原崎権之助は、1735年から1796年まで活躍し、その芸の高さから多くの観客を魅了したと伝えられています。

五代目は四代目の子、六代目は五代目の養子として名跡を受け継ぎました。しかし、六代目河原崎権之助は、浪人強盗に刺殺されるという悲劇的な最期を遂げます。1814年から1868年という短い生涯でしたが、その早すぎる死は多くの人々に衝撃を与えたことでしょう。

七代目河原崎権之助は、六代目の養子として名跡を継承しました。しかし、その実父はなんと、名優として知られる七代目市川團十郎だったという驚きの事実があります。歌舞伎界における両家の繋がりを示すエピソードとして、興味深いものです。七代目はその後、河原崎三升を経て九代目市川團十郎を襲名し、成田屋として活躍しました。

八代目は六代目の妻の甥にあたる人物が継承しました。山崎福次郎から河原崎福次郎、そして八代目河原崎権之助と改名したこの人物は、1863年から1917年まで活躍したと記録されています。

このように、河原崎権之助の名跡は、血縁や養子縁組、さらには異なる名跡との繋がりなど、複雑な歴史を辿りながら受け継がれてきました。それぞれの代に活躍した役者たちの芸、そしてその生涯は、江戸歌舞伎の歴史を彩る重要な一ページとして、今なお人々の記憶に刻まれています。それぞれの代々の権之助がどのような役柄を演じ、どのような芸風を持っていたのか、詳細な記録を紐解くことで、より深い理解が得られるでしょう。 今後の研究によって、さらに多くの事実が明らかになることを期待したいところです。

もう一度検索