河崎一郎

河崎一郎

河崎一郎（かわさき いちろう、1909年9月19日 - 2004年8月13日）は、日本の外交官です。大阪府出身で、東京帝国大学法学部政治学科を卒業後、外務省に入省しました。

外交官としてのキャリア

河崎は、1939年にサンフランシスコ副領事を務めたのを皮切りに、バンクーバー領事、ソビエト連邦大使館二等書記官などを歴任しました。戦後は、賠償庁特殊財産部長や賠償庁次長心得を経て、1952年には在ニューデリー日本政府在外事務所所長、在インド日本国大使館臨時代理大使を務めました。

その後も、式部官、外務大臣官房儀典課長事務取扱、外務省国際協力局長など、重要な役職を歴任。1957年には在ジュネーヴ国際機関日本政府代表部特命全権公使、在ジュネーヴ日本国総領事館総領事を務め、国際舞台でも活躍しました。

1960年には駐イラク特命全権大使、1961年には駐ポーランド特命全権大使、そして1967年には駐アルゼンチン特命全権大使に任命されました。

筆禍問題と解任

河崎の外交官としてのキャリアに大きな影を落としたのが、駐アルゼンチン大使在任中に起きた筆禍問題です。1969年に出版した著書『ジャパン・アンマスクド』（日本語版『日本の素顔』）の中で、「ピグミー族とホッテントットを除けば、おそらく身体的な魅力といった点で最も劣っているのは、日本人であろう」と記述しました。この発言は大きな批判を呼び、当時の愛知揆一外務大臣は、河崎に帰国命令を下し、事実上の解任処分となりました。外交官が著書の内容を理由に解任されるという、異例の事態でした。

退官後

1969年に退官後はジュネーブに移住し、三菱重工業社長室顧問を務めました。

著書

河崎は、外交官としての経験をもとに、以下の著書を出版しています。

『素顔の日本』（二見書房、1965年）
『他人のめし』（チャールズ・イー・タトル出版、1968年）
『素顔の日本外交』（新潮社、1970年）
『サヨナラ日本 : 小説・裸の商社マン』（徳間書店、1973年）
* 『国際感覚入門：外国との差をつめるセンス』（徳間書店、1974年）


河崎一郎は、その外交官としてのキャリアと、問題となった著書による解任劇で、歴史に名を残す人物となりました。

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