河野信子

河野 信子

河野 信子（かわの のぶこ、1950年5月2日 - ）は、日本の元陸上競技選手です。主に短距離走および中距離走を専門分野とし、競技生活を通じてリレー種目を含む計23回にわたる日本記録の更新を達成しました。「中距離の女王」という異名を持ち、日本の女子トラック競技界において顕著な足跡を残した選手として知られています。

来歴

大分県の出身。学生時代から陸上競技での才能が開花し、大分県立農業高等学校（現：大分県立佐伯鶴岡高等学校）在籍時には、1968年の九州高校陸上競技大会女子800メートル競走で優勝を飾るなど、早くから注目を集めました。

高校卒業後、河野は日本レイヨン宇治工場（後のユニチカ）に入社し、実業団選手として競技活動を継続しました。入社後、当時コーチとして経験を積み始めたばかりであった藤田信之の指導を受けることとなります。藤田コーチのもと、河野は競技者としてさらなる成長を遂げ、1970年6月に開催された実業団・学生対抗陸上競技大会の女子400メートル競走で、56秒4（手動計時）というタイムを記録し、これが自身にとって初の日本記録樹立となりました。この記録を皮切りに、河野は自身の主戦場である800メートルや1500メートル、さらにはチームとして出場する4x400メートルリレー走においても次々と日本記録を樹立し、その更新回数は通算で23回を数えました。

中でも特筆されるのは、1973年10月に行われた第28回国民体育大会の女子800メートル競走で、この時河野は自己21回目の日本新記録を樹立し、見事優勝を果たしています。さらに、同年7月1日にマークした女子800メートルの日本記録（2分05秒1）は、1985年10月23日に新井文子選手によって破られるまで、実に12年もの長きにわたり日本の女子800メートルの最高記録として歴史に刻まれました。これは、河野が当時いかに傑出した実力を持っていたかを証明するものです。

現役引退後も陸上競技との繋がりを保ち、1987年には第1回マスターズ駅伝に大分県代表チームの一員として出場し、第1区を走っています。

主な成績

河野信子が参加した国内外の主要な大会における主な成績は以下の通りです。

国際大会

アジア競技大会
1970年（バンコク）: 400メートル 3位、800メートル 2位
1974年（テヘラン）: 400メートル 2位、800メートル 1位、4x400メートルリレー 1位

アジア陸上競技選手権大会
1973年（マニラ）: 400メートル 1位、800メートル 1位、1500メートル 4位

国内大会

日本陸上競技選手権大会
1969年: 400メートル 3位
1970年: 400メートル 1位、800メートル 6位
1971年: 400メートル 1位、800メートル 1位、4x400メートルリレー 1位
1972年: 400メートル 1位、800メートル 1位
1973年: 800メートル 1位、1500メートル 1位
1974年: 800メートル 1位、1500メートル 2位

全日本実業団対抗陸上競技選手権大会
1970年: 400メートル 1位、800メートル 1位
1971年: 400メートル 1位、800メートル 1位
1972年: 200メートル 1位、400メートル 1位、800メートル 1位
1973年: 400メートル 1位、800メートル 1位、1500メートル 1位
1974年: 400メートル 1位、800メートル 1位

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