油戸炭鉱

油戸炭鉱（あぶらとたんこう）

油戸炭鉱は、かつて山形県鶴岡市に存在した炭鉱であり、三菱鉱業によって経営されていました。この炭鉱は、大手企業が経営していた炭鉱としては初の閉山事例であり、また、石炭鉱業整備事業団への売却も大手企業としては初のケースとなりました。

歴史

油戸炭鉱の歴史は、明治時代に遡ります。

1876年（明治9年）：工務省がドイツ人技師を派遣し、油戸炭鉱の実地調査を実施。
1879年（明治12年）6月10日：佐渡鉱山分局として官営化。佐渡鉱山の製錬用燃料を採取する目的がありました。
1881年（明治14年）6月21日：院内鉱山分局へ変更。
1884年（明治17年）：民営化。
1886年（明治19年）6月：再び官営に戻ります。
1896年（明治29年）9月21日：佐渡鉱山と共に、国から三菱合資会社に払い下げられました。
1917年（大正6年）11月16日：油戸鉱業特設電話所が開設。
1920年（大正9年）8月26日：炭業不振のため、事業縮小が決定。
1922年（大正11年）1月：合理化のため休坑。背景には恐慌の影響もありました。4月2日には、油戸鉱業特設電話所が廃止。
1947年（昭和22年）8月1日：戦後の復興に伴う石炭増産のため、三菱鉱業本社内に油戸炭鉱開発事務所を設置。翌9月から開坑に着手。
1948年（昭和23年）3月1日：油戸炭鉱を設置し、油戸炭鉱開発事務所を廃止。独立した場所として稼働を開始。
1949年（昭和24年）6月1日：竹の浦の炭坑積込ポケットから羽前大山駅までの専用線起工式を挙行。11月16日には、油戸炭鉱鉱業特設電話所が開設。
1950年（昭和25年）9月20日：専用線竣工記念式典を挙行。
1957年（昭和32年）1月31日：集会所で閉山式を挙行。2月1日に閉山し、石炭鉱業整備事業団に売却されました。活況時の閉山であり、当初労組は閉山に反対しましたが、伊木正二東大教授らによる炭労調査団の現地調査の結果、労組は閉山に合意しました。

鉄道

羽前大山駅から竹の浦まで、石炭を運搬するための鉄道が敷かれていました。この鉄道では、B6形蒸気機関車2両が使用されていました。

神子沢隧道

油戸から竹の浦まで、炭鉱の私道として開削された神子沢隧道は、閉山後に一般道として提供されました。現在もその姿を残しています。

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