泉水博

泉水 博 - 波瀾万丈の人生の軌跡

泉水博（せんすい ひろし、1937年3月10日 - 2020年3月27日）は、千葉刑務所内で獄中者組合を創設したことで知られる日本の著名な犯罪者であり、後に日本赤軍に関与した。千葉県木更津市に生まれた彼の人生は波乱に満ちており、特異な経歴を持っている。

人物背景

泉水は千葉県立木更津第二高等学校を2年で中退し、その後は数職を転々としながら生活を続けた。しかし、1960年に仲間と共に会社の重役の妻を刺殺し、金銭を奪う事件を起こし逮捕された。この事件により無期懲役が宣告され、千葉刑務所に服役することとなった。

刑務所生活と獄中者組合の結成

千葉刑務所では模範囚としての評価を得ており、仮釈放の可能性も見えていた。しかし、ある日同じ囚人が病気で苦しんでいるのを見た泉水は、看守を人質に取り、医師がその囚人を診るよう求めた。この行動は刑務所内で彼の名を広め、獄中者組合の結成へとつながっていった。事態は更に発展し、彼は旭川刑務所に移送されたが、そこでの評価も変わらず、双方の信頼を得ていた。

ダッカ事件への関与

1977年に発生したダッカ事件では、泉水は直接的な犯人ではなかったにもかかわらず、獄中者組合の指導者としての立場が評価され、ハイジャック団の釈放要求リストに名前が載ることとなった。当初、日本政府は彼と仁平映を「思想犯ではなく刑事犯」として扱い、釈放を拒否していたが、ハイジャック犯の影響もあり、最終的には超法規的に釈放されることとなった。

泉水は「喜んで出獄したわけではない」と述べ、自身の判断で行動したことが強調された。そして、日本赤軍に参加し、海外での活動にシフトすることになる。

海外での活動

日本赤軍に合流後、泉水はパレスチナで人気を博した。特に北島三郎の歌を愛し、彼の音楽がパレスチナの人々に受け入れられた。1985年には、シリアでの文化交流事業で北島と接点を持ち、その際、パレスチナの人々は泉水の歌を北島が歌っていると思い込んだエピソードがある。このように彼は異国の地で自己の存在感を高めていった。

1980年代半ばからは、日本赤軍の方針によりフィリピンを拠点にし、「山口登」という名で商売をしながら活動していたが、1987年に丸岡修が逮捕されたことがきっかけで日本にいる協力者が特定された。その後、1988年には旅券法違反でフィリピンで逮捕され、日本への送還となった。

最後の人生

1995年には、フィリピンでの逮捕を巡って再度の懲役が科され、彼の人生はさまざまな側面から評価されることになった。2020年3月22日に岐阜刑務所で心肺停止の状態で見つかり、その後病院に搬送されたが、27日に83歳で他界した。

まとめ

泉水博の人生は、社会的な反体制運動や、獄中での行動を通じて多くの議論を呼んできた。彼の波乱に満ちた経歴は、ただの犯罪者の物語ではなく、戦後日本の複雑な歴史の一部であると言える。

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