法政大学府中寮

法政大学府中寮

法政大学府中寮は、東京都府中市北山町に位置し、法政大学が所有していた学生寮でした。学生による自主管理・自主運営が行われていた自治寮であり、寮生たちは寮の運営に深く関わっていました。しかし、建設から40年以上が経過し、建物の老朽化などの問題から、2009年度末をもって廃寮となりました。

歴史

1965年、学費値上げ反対運動を闘った学生たちの要求によって「法政大学府中学生寮」が建設されました。1971年には、寮監が追放され、学生による自主管理・自主運営が開始され、この頃から「法政大学府中寮」と称されるようになりました。

1980年代には、中核派系の寮生が住んでいた時期もありましたが、その後は多様な学生を受け入れていました。1989年からは、テント劇団「風の旅団」の合宿を受け入れるなど、学生以外の文化的な交流もありました。

1990年代には、大雨による排水管の詰まりで寮屋上に水が溜まる事件が発生したり、共益費協議会での合意により寮屋根の補修が行われるなど、寮の維持・管理における課題もありました。2000年には、補修工事が行われ、内装・外装が改善されました。

2000年代に入ると、途中入寮選抜や在寮延長希望者選抜が開始されるなど、寮の運営方法も変化していきました。2006年には、法政大学から現在の寮生の卒寮をもって廃寮とする旨が伝えられ、2010年3月末に廃寮となりました。

年表

1965年: 「法政大学府中学生寮」建設
1971年: 学生による自主管理・自主運営が開始
1981年: 府中寮自主管理10周年集会を実施
1989年: テント劇団「風の旅団」の合宿を受け入れ
1991年: 大雨による排水管の詰まりが発生。自主管理20年集会を法政大学市ヶ谷キャンパスで実施
1992年: 共益費協議会で一定の合意、寮屋根補修の道筋ができる
2000年: 補修工事が行われ、内装・外装が改善
2003年: 途中入寮選抜･在寮延長希望者選抜が開始
2006年: 法政大学より廃寮とする旨が伝えられる
2010年: 3月末にて廃寮

寮の性格

府中寮は、学生による自治寮でしたが、他の大学の自治寮との定期的な交流は特にありませんでした。また、他の自治寮で採用されている外泊者の制度もありませんでした。

1984年の法政大学多摩校舎開校以降、多摩地区の学生の入居も多く、法政祭では多摩祭に出店したり、合宿場所として提供することもありました。また、寮敷地にテント劇団などの合宿を受け入れたこともあり、劇団員との交流もありました。

居心地の良さ、寮費の安さ、大学までの距離などから、留級や中退者も少なくなかったようです。寮運営は学生たちが自ら行っており、かつては大学当局と対立する関係にありましたが、近年では定期的な意見交換も行われていました。

新入寮生の選抜・選考も学生が行っており、寮生として相応しくない場合は退寮させることもできました。かつては、卒業後の無学籍者や他大学の学生も在寮していましたが、廃寮時は法政大学の学生のみが入寮できました。個室は、原則として1年目は2人部屋、2年目以降は1人部屋となっていました。

共益費協議会がまとまるまでは、寮生は大学に寮費を納入しておらず、自治会費のみで生活できた時代もありました。年間の経費は数万円から10万円程度で、経済的に恵まれない学生が学業を継続する上で重要な場所でした。

寮には1フロア16室×4階の計64室があり、60～70人が住んでいました。男女の制限はなく、多様な学生が生活していました。寮建設時は工学部1年生のみの入寮規定がありました。

寮内・寮生の雰囲気

寮生しか理解できない文字として、「うかんむり」に「R」と書いて「寮」と表現することがありました。全国から学生が集まり、春の歓迎会では大いに盛り上がりました。また、方言が飛び交うことも特徴でした。

寮自治会活動に熱心な寮生は「元老院」と呼ばれていましたが、寮閉鎖間際は「ピラニア軍団」という呼称に変化しました。寮生同士で交際し、卒業後に結婚した例も複数ありました。

寮内では、サッカー、ラーメン、バイクなどのサークル的なものも存在し、一時期はグループ・派閥的な組織が流行しましたが、活動目標は不明確なものが多かったようです。

来客対応や荷物対応などを行う受付業務は、寮生が日常的に行っていました。夏・冬の長期休暇中は特別編成となり、年末年始に担当するグループは「越冬隊」と呼ばれ、特別予算が割り当てられていました。

個室ではなく、4名で4部屋合同で生活するスタイルを採用する寮生もおり、食事当番を輪番制にするなど、共同生活を発展させた時代もありました。

寮自治会

府中寮では、寮生が自治会を組織し、寮の運営を行っていました。寮自治会には、以下のような組織がありました。

寮生大会: 全寮生によって構成される最高決議機関
議長団: 寮生大会の進行を行う2名の役員
執行委員会: 寮自治会唯一の執行機関で、各局長などで構成
事務局: 議事録作成や記録作成を担当
経理局: 予算・決算原案作成や集金などを担当
総務局: 受付室管理や防災訓練などを担当
広報局: 寮自通信の発行や入寮問い合わせ対応などを担当
フロア会議: 各階ごとに設置された会議で、階ごとの問題を協議

その他、選挙管理委員会、入寮選抜委員会、寮祭実行委員会など、様々な組織がありました。

2004年の部局再編までは、組織局、情宣・救対局、書記局、会計局の4局と、各フロア会議、各学年会議、各キャンパス会議、女性会議がありました。1992年の授業料値上げの際には、寮生有志による「府中寮学費値上げ阻止実行委員会」が結成されるなど、大学の動向に連携した活動も行っていました。また、市ヶ谷や多摩キャンパスには立て看板を設置し、寮生募集や寮祭の告知を行っていました。

寮内施設

府中寮には、以下のような施設がありました。

受付室: 寮の玄関脇にあり、寮生が交代で受付業務を行っていました。
2階ホール: 寮生大会の会場であり、交流の場でもありました。
食堂: 寮食を食べることができました。
自治会室: 執行委員会などの会議が行われていました。
自習室: 試験前などに勉強する学生が利用していました。
多目的室: 麻雀や休憩、会議などに利用されていました。
浴室: 時間帯によって男女別で利用していました。
シャワー室: 2000年の改装で設置され、24時間利用可能でした。

年間行事

府中寮では、円滑な寮運営、寮生間の交流、地域住民との交流のために、様々な行事が行われていました。

春: 新入寮生歓迎会、新入寮生学習会・オリエンテーション、お花見
夏: 文化センター祭、前期打ち上げ、夏季学習会
秋: 防災訓練
冬: 寮祭、後期打ち上げ、新入寮生選抜、大掃除、三役改選選挙

かつては花火大会と称し、ロケット花火の打ち合いを行っていましたが、近隣住民の苦情により中止となりました。

寮生OB・OG

府中寮出身の著名なOB・OGとして、以下のような方がいます。

鈴木一夫: 盛岡市議会議員、法政大学野宿同好会創設者
田島央一: 前北海道議会議員
浜崎正樹: FBS福岡放送のアナウンサー

関連項目

法政大学
自治寮

外部リンク

法政大学
* 法政大学府中寮同窓会(archive.is)

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