法政大学55年館・58年館

法政大学55年館・58年館：モダニズム建築の象徴

法政大学55年館・58年館は、かつて法政大学に存在した、モダニズム建築を代表する建物でした。これらの建物は、第二次世界大戦で校舎の多くを失った法政大学が、戦後の復興期に再建された象徴的な存在でした。

戦後の復興と大内兵衞の理念

1950年に法政大学の総長に就任した大内兵衞は、戦災で荒廃した校舎の再建という困難な課題に取り組みました。大内は、単に校舎を再建するだけでなく、新時代の大学として、学問への熱意を持つ全ての若者が集える、開かれた学びの場を目指しました。この理念のもと、当時の工学部助教授であった大江宏が新校舎の設計を担当し、55年館と58年館が建設されました。

モダニズム建築としての評価

55年館と58年館は、モダニズム建築として学内外から高い評価を受けていました。特に、58年館は、芸術家の岡本太郎から「光線の考察や設備の点で群を抜いている」と絶賛されるほどでした。外観は一見すると一つの長い建物に見えますが、実際には1955年と1958年にそれぞれ完成した2つの建物を接続したものでした。この完成年にちなんで、それぞれ55年館、58年館と名付けられました。

大江宏の功績

一連の校舎建築で、大江宏は1958年に芸術選奨文部大臣賞と建築学会賞、1960年にはBCS賞を受賞しました。これらの受賞は、大江の建築家としての卓越した才能と、55年館・58年館の建築としての価値を証明するものでした。

老朽化と解体

長年にわたり法政大学のシンボルとして親しまれてきた55年館・58年館ですが、老朽化のため解体されることになりました。日本建築学会は、これらの建物に歴史的・文化的価値があるとして保存を求めていましたが、法政大学理事会は保存しないことを決定しました。解体工事に先立ち、2019年2月23日と24日には「55・58フェアウエルDays」が開催され、最終講義やシンポジウム、展示企画、映画上映などが行われ、多くの人々が別れを惜しみました。

孔子の言葉

55年館の511教室前には、大内兵衞の筆による孔子の一節が掲げられていました。この書は、55年館の解体後に新校舎に移設され、今もその精神を伝えています。

まとめ

法政大学55年館・58年館は、戦後の大学再建期におけるモダニズム建築の傑作として、その名を歴史に刻んでいます。建物は失われましたが、その建築としての美しさ、そして、学問への熱意を持つ全ての若者を受け入れるという理念は、今もなお、多くの人々の記憶に残っています。

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