泣きたい私は猫をかぶる

泣きたい私は猫をかぶる：あらすじと魅力

この作品は、愛知県常滑市を舞台に、14歳の笹木美代と、彼女が想いを寄せるクラスメイトの日之出賢人の青春模様を描いたアニメーション映画です。美代は奔放な言動から周囲に「ムゲ」と呼ばれ、賢人への想いをストレートに表現することで、周囲を困惑させています。

美代の隠された秘密とは、夏祭りの夜に言葉を話す猫の妖怪からもらった「猫になれる仮面」の存在です。この仮面を用いて白猫となり、賢人の生活を密かに観察するのです。賢人はこの猫を「太郎」と名付け可愛がり、美代はますます賢人に惹かれていきます。

美代の賢人への強い想いは、複雑な家庭環境に根ざしています。両親は離婚しており、父と二人暮らしの家に家事手伝いの薫が住み込んでいます。居場所のなさを感じている美代は、賢人と共に家を出て自立したいと考えているのです。

ある日、賢人の噂話をしている同級生に食ってかかる騒動の中、美代は賢人から弁当を分けてもらい、一緒に食事をします。この時の賢人の笑顔に感動した美代は、放課後、猫の姿で賢人の家を訪れます。しかし、そこで目撃したのは、家業を巡る悩みを抱え落ち込んでいる賢人の姿でした。

賢人の言葉をきっかけに、美代は自分の気持ちを手紙に綴り、彼に届けようとしますが、同級生に手紙を奪われ、内容を読まれてしまいます。その手紙を返された賢人から突き放された美代は、大きなショックを受け、家出をします。

そして、美代は完全に猫の姿になる寸前に、薫の家で飼われている猫「きなこ」が、美代になりすますという予想外の展開が待っています。きなこは、薫への恩返しと、共に長く過ごすために猫の仮面を手に入れ人間になりすましていたのです。

美代の失踪を知った父と薫は学校に連絡し、賢人や美代の親友も巻き込んで大騒動となります。一方、美代は猫の姿のまま賢人と共に彼女の行方を追いかけます。そして、美代は猫の姿のまま、猫だけにしか見えない「猫島」へとたどり着きます。

「猫島」で美代は人間に戻る方法を知りますが、同時に、猫の姿になったことで周囲との関係や自分自身のアイデンティティと向き合うことになります。そして、夏祭り、様々な出来事を通して美代と賢人は、互いの気持ちを確認し、結ばれるのです。

登場人物

笹木美代: 主人公。複雑な家庭環境の中で、賢人への想いを抱え葛藤する少女。

日之出賢人: 美代の同級生。陶芸家の道を志しながらも、家族の期待に応えようと葛藤している青年。

深瀬頼子: 美代の親友。美代をいつも支える理解者。

その他: 賢人の家族、友人、教師、そして猫の妖怪「猫店主」や、美代になりすました猫「きなこ」など、個性豊かなキャラクターたちが物語を彩ります。

作品の魅力

この作品の魅力は、可愛らしいアニメーションと、繊細な心情描写のバランスにあります。美代の複雑な心情や、人間関係の機微が丁寧に描かれ、視聴者の共感を呼びます。また、現実世界とファンタジー要素が絶妙に融合し、独特の世界観を作り出しています。

猫の姿になった美代を通して、人間関係や自己肯定感といったテーマが深く掘り下げられており、青春期の普遍的な悩みや葛藤を想起させる作品となっています。

劇場公開と派生作品

当初は劇場公開が予定されていましたが、新型コロナウイルスの影響でNetflixでの全世界独占配信となりました。その後、一部劇場で限定公開もされました。小説版やコミカライズも発売され、幅広い層に愛されています。

まとめ

『泣きたい私は猫をかぶる』は、可愛らしいビジュアルと奥深いストーリーで、多くの視聴者の心を掴んだ作品です。青春の甘酸っぱさや、複雑な人間関係、そして自己探求といったテーマに興味のある方におすすめです。

もう一度検索