洞富雄

洞富雄（ほら とみお）

洞富雄は、1906年11月14日に長野県東筑摩郡本城村で生まれ、2000年3月15日に心不全で亡くなった日本の歴史学者です。彼は主に日本史を専門とし、多くの重要な著作を残しています。1960年には早稲田大学から文学博士の学位を取得し、特に研究テーマとして鉄砲の伝来に関する影響を追求しました。彼は元々早稲田大学文学部の教授であり、長い教育者としてのキャリアを持っています。

来歴

洞は旧制松本中学、第一早稲田高等学院を経て、早稲田大学文学部に進学しました。在学中には西村真次からの指導を受け、その後、1931年3月に同大学を卒業しました。卒業後は早稲田大学図書館の書記として勤務しながら、歴史研究にも情熱を注ぎました。彼は1937年から同大学の講師として教鞭を取るようになり、1957年には専任助教授に昇進しました。1960年には『鉄砲伝来とその影響』を基に文学博士号を取得し、その後も教育と研究に力を入れ続けました。1966年には教授に就任し、1977年に定年退職しながらも、多くの論文を発表し続けました。

業績

洞富雄の研究業績の中で特筆すべきは、日本の歴史学界で初めて南京事件の研究を本格的に進めた点です。彼は南京事件での犠牲者数を20万人以上とする立場で知られています。著書『近代戦史の謎』には「南京アトロシティー」に関する章があり、その後、1972年には『南京事件』というタイトルで日本初の歴史書となる単行本を発表しました。この作品は南京事件に関する多くの資料に基づいており、後に『日中戦争史資料』としても出版された二冊の資料集は、南京事件の研究の基本資料として利用されています。

著名人の小林よしのりは、洞の『南京事件』を加筆した『決定版南京大虐殺』に対し、独自の視点から批評を行っています。さらに、彼は近世北方史に関する著作も多く、特に『間宮林蔵』は知られています。洞の書籍は多岐にわたり、日本の歴史理解を深めるための重要な資料となっています。

主要な著作

洞の著作は多く、代表的なものには以下のようなものがあります：

• - 『鉄砲伝来記』 (1939)
• - 『樺太史研究 唐太と山丹』 (1956)
• - 『日本母権制社会の成立』 (1957)
• - 『南京事件』 (1972)
• - 『南京大虐殺の証明』 (1986)
• - 『幕末維新期の外圧と抵抗』 (1977)

彼の著作は、日本の歴史や文化を学ぶ上でかけがえのない資源となっています。また、彼の業績は後世の研究者たちに多くの影響を与え、研究の参考文献として広く扱われています。

結論

洞富雄の歴史学への貢献は、日本史の深い理解を促進するものであり、彼の業績は今後も多くの人々に受け継がれていくことでしょう。彼の探究心と研究成果は、日本の歴史学において決して色あせることのない重要な位置を占めています。

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