津山朝日新聞

津山朝日新聞の概要と歴史

岡山県津山市に拠点を置く株式会社津山朝日新聞社は、地域に根ざした新聞として「津山朝日新聞」を発行しています。この新聞は日刊の夕刊紙ですが、全国で広く知られる「朝日新聞」とは資本関係がありません。地元、特に津山市や美作地域では、「津山朝日」の愛称で多くの人々に親しまれています。

本紙は、「正邪を明らかにし、不偏不党、もって中庸の報道により地域文化の進展に寄与せんとす」という理念を掲げ、公平で偏りのない視点から地域社会の出来事や文化の発展に貢献することを目指しています。

地域に密着した報道

津山朝日新聞の紙面は、その発行エリアである津山市と周辺の美作地域に特化した内容で構成されています。報道範囲は幅広く、突発的な事件や事故、災害の速報から、市町村の行政動向、様々な市民団体の活動紹介、学校や地域で行われる催し、地域経済の動き、地元ならではの歴史や文化、スポーツの話題、各種イベント情報まで多岐にわたります。また、季節ごとの美しい風景や、地域社会で活躍する人物にスポットを当てた記事も掲載し、読者の身近な関心に応えています。特に、日々のコラム「東西南北」では、さらに日常的な話題を取り上げ、読者との親近感を深めています。

紙面構成と購読情報

紙面のサイズはブランケット判を採用しており、通常は4ページ立てで発行されています。日曜日が休刊日となっています。購読料金は月額2,100円、1部単位で購入する場合は100円です。

株式会社津山朝日新聞社の本社所在地は岡山県津山市田町13番地です。現在の代表取締役社長は福田邦夫氏が務めており、会社は明治43年（1910年）の創業から現在に至るまで歴史を重ねています。資本金は1,000万円で、従業員は約50名体制で運営されています。

沿革：一世紀を超える歩み

津山朝日新聞のルーツは、明治43年（1910年）に当時の苫田郡津山町鉄砲町で誕生した「作陽新聞」にあります。その翌年の明治44年には、町内の堺町へ移転し、「備作新聞」と名称を改めました。さらに大正4年（1915年）には、現在の所在地である田町へ移り、社屋を新築しました。

大正8年（1919年）には、地域の「美作新聞」と合併し、「津山朝日新聞」として新たな一歩を踏み出しましたが、当初は隔日刊でした。しかし、大正10年（1921年）には発行頻度を増し、日刊紙となりました。

昭和に入り、昭和2年（1927年）には福田卓也氏が二代目社長に就任しました。昭和14年（1939年）には、「津山毎日新聞」や「作州日報」といった他の地元紙との合併を経験します。しかし、太平洋戦争中の昭和16年（1941年）、国策による「一県一紙」体制への統合の流れの中で、合同新聞（現在の山陽新聞）に吸収される形で、その歴史は一時的に中断され、第7000号をもって休刊となりました。

戦後、昭和21年（1946年）に、二代目社長であった福田卓也氏の尽力により、津山朝日新聞は見事に復刊を果たします。休刊前の号数である第7000号に続く第7001号から紙齢を引き継ぎ、再び地域への情報発信を再開しました。その後、昭和29年（1954年）には再び「作州日報」を合併し、本社を田町へ再移転しています。

技術面でも近代化を進め、昭和49年（1974年）にはオフセット輪転機を導入し、印刷能力を向上させました。平成に入ると、平成14年（2002年）に福田益之氏が三代目社長に、平成20年（2008年）には現在の福田邦夫氏が四代目社長に就任し、経営体制を刷新しました。平成19年（2007年）にはCTP（Computer To Plate）システムの導入により、新聞制作のデジタル化も進んでいます。

創業から一世紀を超え、平成22年（2010年）には創刊100周年の記念すべき年を迎えました。また、平成26年（2014年）には月刊紙版を創刊するなど、読者のニーズに応える新たな試みも行っています。そして、令和3年（2021年）12月4日には、日刊紙の発行号数が通算3万号に到達するという大きな節目を迎えました。

津山朝日新聞は、明治時代から今日まで、美作地域の歴史と共に歩み、地域文化を伝え、発展に寄与する重要な存在として、地元住民に不可欠なメディアとなっています。

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