津軽丸 (2代)

津軽丸について

津軽丸（つがるまる、Tsugaru Maru）は、日本国有鉄道（国鉄）が運営していた青函航路の客載車両渡船であり、青函連絡船としては第2代目の船として知られています。1950年代から1960年代の戦後の混乱期において、古くなった船舶に替わる新たな航路の重要なシンボルとなり、輸送力を大きく向上させました。この船は、戦後の輸送需要の急増に対応するために設計され、自動化や高速化を実現した画期的な存在でした。

津軽丸型の建造背景

津軽丸型の製造に至るまでの経緯は、1960年頃の青函連絡船の現状にあった次第から始まります。この時期、運航中の船舶は多くが戦時中に建造されたもので、船質が劣化しつつあり、修理費が嵩んでいました。国鉄の船質調査委員会の報告により、長期運航は望ましくないという結論に達したことが、新たな船の必要性を示しました。

その結果、国鉄は青函連絡船の取替え計画を立案し、1962年に最初の津軽丸型客載車両渡船である津軽丸の建造を開始しました。この船は、初めての自動化船として、青森と函館の間を従来の4時間30分から3時間50分に短縮して航行可能にしたのです。以降、津軽丸を原型にした全7隻の津軽丸型が建造されました。

津軽丸の設計と特徴

津軽丸は、当時の最新技術を取り入れて建造されました。その中でも、マルチプルエンジン方式を採用し、片舷4台ずつの4サイクル中速ディーゼルエンジンを搭載して、力強い推進力を実現しています。このエンジンの出力は、従来の船舶よりも大幅に向上し、主機械は容易にメンテナンスができる設計になっています。また、可変ピッチプロペラが装備されており、航行速度などに応じてプロペラの翼角を調整することで、操縦性が大幅に改善されました。

さらに、津軽丸は日本初の自動化船として、自動操縦装置を備え、船の位置を自動的に測定する機能があったため、操縦の負担を軽減しました。これにより乗務員の人数を減らしつつ、安全性と航行効率を向上させることができました。

安全対策と運航

津軽丸では、当時考えられる安全性を考慮し、各種の安全対策が実施されています。特に、事故を未然に防ぐための設備が積極的に取り入れられました。トルクヒンジによる船尾水密扉は、車両積卸し時の横傾斜を防ぐために設置され、過負荷防止装置や自動係船運転機能が加えられるなど、国鉄連絡船としての体制は確立されました。

船の運航は1964年から始まり、最初のダイヤ改正が行われた際に、津軽丸型の略称や出港時の効率化が求められ、さまざまな便数が設定されました。青森から函館へ向かう便は、従来の4時間から3時間50分の短縮運航が実現され、連絡船としての重要な役割を果たしました。

環境対策とその後

津軽丸型は、環境問題も意識して運航されるようになり、1970年代には燃料消費量の節減や、汚物処理装置が新たに設置されるなどの対策がとられました。さらに、オイルショックの影響で燃料消費の効率化が強く求められるようになり、流れ作業やシステムを見直すことが行われました。

1982年に引退を迎えた津軽丸は、その替わりに新たな船舶が就航する中、青函航路の歴史に名を刻んだ重要な存在でした。引退後、津軽丸は北朝鮮に転売され、貨物船として運航された後、最終的には解体されました。このように、津軽丸は戦後の日本における航路のシンボルであり、多くの人々の移動を支えた船であったといえるでしょう。

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