活動手当

活動手当について

活動手当（Prime d'activité）は、フランスにおける低賃金労働者の支援を目的としており、2015年8月の「社会対話及び雇用に関する法律」（通称、レブサメン法）によって創設されました。2016年1月1日より、従来あった「就業手当（Prime pour l'emploi）」と「就業者向けの生活保護（Revenu de solidarité active）」の二つが統合され、この制度がスタートしました。

制度の背景と目的

活動手当は、特に若年層や低賃金で働く人々に対して、働き続けるインセンティブを提供することを狙いとしています。この制度の導入は、国内での就労を促進し、社会保障制度への過度な依存を防ぐためのもので、特に18歳以上の勤労収入を得るすべての人が対象です。従来の就業手当は、一定の収入を得ている世帯に対して追加で支給されるものでしたが、実際には税額控除の形式で支給されていました。これにより、就業者の税額が就業手当を上回らない限り、その差額が活動手当として支給される仕組みです。

また、就業者向けの生活保護は、生活困難に直面している労働者に対して支給されるもので、受給者が25歳以下に限定されていたため、実際に受給する人は非常に少なくなる傾向がありました。そのため、活動手当を通じて、幅広い年齢層の低賃金労働者に支援を提供することが期待されたのです。

受給の条件

活動手当を受け取るには、以下の条件を満たす必要があります。

1. 年齢: 18歳以上であること。
2. 居住条件: フランス国内に持続的に居住していること（一時的にフランスで働いているだけの人は対象外）。
3. 就労状況: 賃金労働者に加えて、個人事業主も受給可能。ただし、原則として育児休業中の人は受給不可ですが、育児休業中にもかかわらず給与が支給されている場合は受給可能です。
4. 国籍: フランス国民またはEU諸国の国籍を保持する者、または5年以上正規に滞在している外国人。

活動手当の影響

活動手当は2016年2月の支給開始から、230万世帯以上に渡って支給されてきました。特に、これまでの制度では対象外であった多くの若者が受給資格を得たことから、若年層への経済的支援効果が期待されています。2018年には、支給の平均額が月158ユーロに達し、例えば子供のいない独身世帯で月収が1550ユーロの場合、133ユーロが支給されるという形でした。さらに、2019年1月からは、黄色いベスト運動の影響を受け、支給額が月100ユーロ増額されることとなりました。

活動手当は、フランスの社会保障制度の重要な一部として、低賃金労働者の購買力を向上させ、就業を維持させるための施策として、その役割を果たすことが期待されています。

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