流 (博多)

流（ながれ）について

流は、博多市街に点在する複数の町の集まりを指します。現在の博多は、那珂川・御笠川・博多湾・房州堀に囲まれた区域の狭義として形成され、安土桃山時代には自治都市として栄えましたが、その後の戦火によって荒廃しました。豊臣秀吉は1587年に博多の復興を考え、黒田孝高に計画を立案させました。この復興事業は「太閤町割り」として知られています。

流の形成

秀吉の指示により、町筋の数が七本に設定され、それぞれの通りに面した家々が地区ごとにまとめられました。当時の町は背割り方式で、町筋の向かい合う家々は同じ町に含まれましたが、裏手の家は異なる町に属する仕組みでした。流はこの町の集合体であり、行政上の上位区画でもありました。「流」という名称の由来には幾つかの説があり、小川や旗の数え方に由来しているともいわれています。

江戸時代からの変遷

江戸時代に入ると、流の町割りが整備され、いくつかの町筋が定められました。南北には東町流、市小路流、西町流などが、横筋には石堂流や魚町流などが作られました。毎年行われる博多祇園山笠では、これらの流が役割を担い、大規模な祭事がこの流単位で行われてきました。このように、流は町の発展と共に変化し、新たな流も加わりました。

第二次世界大戦後の博多は、大空襲によって壊滅的な状況に陥りましたが、流の存在は継承されました。戦後は山笠や松囃子の役割が強調され、いくつかの新しい流が形成され、山笠の盛り上がりに寄与しました。

現在の流の状況

現在、流は8つのグループに分かれており、福神流を除くすべての流が博多祇園山笠の当番を務めています。これらは「博多七流」と呼ばれ、山笠の活動を通じて地域コミュニティの結束を保っています。また、旧来の町名と現行の町名には違いがあり、山笠の運営にあたる町名は現在も受け継がれています。

流はただの行政区分を超え、博多の文化と伝統を支える重要な要素として生き続けています。流の中でも特に恵比須流、大黒流、福神流は博多松囃子の三福神の役割を担い、伝統の継承に寄与しています。

入軒の習慣

流の中には「入軒」と呼ばれる習慣も存在します。これには旧体制の町界の名残が見られ、山笠の運行の際に特定の地域まで山を引き上げてから戻るという流儀が現在も続いています。このような伝統は流の再編成後も残り、地域の特徴として息づいています。

流は博多の街の歴史と文化を体現する存在であり、その変遷を通じて深い意味を持つようになりました。これからも博多の流は地域の重要なシンボルとして、今後の発展に寄与していくことでしょう。

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