浅野光行

浅野 光行

浅野 光行（あさの みつゆき）氏は、1943年に誕生した日本の都市計画家であり、交通工学の専門家です。土木工学を基盤に、都市における交通システムの設計やまちづくりに関する理論と実践に長年にわたり携わってきました。現在は早稲田大学の名誉教授を務め、同大学の都市・地域研究所の顧問でもあります。また、国内の都市計画分野を牽引する日本都市計画学会では、かつて会長という重責を担いました。

経歴と学術・実務活動

浅野氏の学術的な歩みは、1968年に早稲田大学大学院理工学研究科の建設工学専攻修士課程を修了したことに始まります。さらに研鑽を積み、1980年には工学博士の学位を取得しています。

社会に出てからは、まず首都高速道路公団に勤務し、都市交通インフラの実務に携わりました。その後、研究の道に進み、1976年には建設省（現国土交通省）の土木研究所道路部で主任研究員を務め、道路交通に関する専門的な研究に従事しました。1978年には建設省建築研究所に移り、都市施設研究室の室長として、都市における施設の計画や整備に関する研究を率いました。

教育者としては、1992年に筑波大学社会工学系の教授を兼任したことを皮切りに、1993年からは母校である早稲田大学理工学部の土木工学科（現：社会環境工学科）の教授に就任しました。早稲田大学では、将来を担う技術者や研究者の育成に情熱を注ぎ、2004年からは同大学の理工学術院教授として、2014年までの10年間にわたり教鞭を執りました。この間、多くの学生や研究者を指導し、都市計画学および交通工学の発展に貢献しました。

国内外の研究機関との交流も積極的に行い、1996年には米国マサチューセッツ工科大学（MIT）の都市研究・計画学部にて客員研究員として招かれました。また、2004年には米国ペンシルベニア大学のデザイン学部でも客員研究員を務めています。これらの海外での活動を通じて、国際的な視野を広げるとともに、日本の都市計画や交通に関する知見を国際社会に発信しました。大学での教育・研究活動に加え、様々な委員会のメンバーとしても活躍し、社会における専門知識の活用にも貢献しています。

学会活動と受賞

浅野氏は、日本の都市計画分野の中心的な存在として、日本都市計画学会において重要な役割を担いました。1999年から2001年まで同学会の副会長を務め、その後の2002年から2003年にかけては会長として、学会活動の推進と都市計画分野全体の発展にリーダーシップを発揮しました。

長年の研究活動の成果は高く評価されており、日本都市計画学会論文奨励賞を受賞しています。これは、氏の学術的な貢献が特に優れたものであることを示すものです。

主な著作

浅野氏の研究成果は、多数の書籍や論文として公表されています。その著作は、都市交通、まちづくり、道路、高齢社会、地下空間利用など、幅広いテーマに及んでいます。主な出版物には以下のようなものがあります。

『Japanese Urban Environment 1998』 (ElsavierScience LTD)
『Global Road Community II』（日本道路協会、2003年）
『Global Road Community III』（日本道路協会、2004年）
『明日の都市交通政策』（成文堂、2003年）
『明日の都市づくり』（慶応義塾大学出版会、2002年）
『成熟都市の交通空間―その使い方と更新の新たな方向』（技報堂出版、2014年）
『交通工学ハンドブック 2011年版』（交通工学研究会）
『シェアする道路－ドイツの活力ある地域づくり戦略』（技報堂出版、2012年）
『都市と高齢者―高齢社会とまちづくり』（大成出版社、1994年）
『地下空間の計画と整備』（大成出版社、1994年）
* 『駅前広場設計指針』（技報堂出版、1998年）

これらの著作を通じて、浅野氏は専門分野における深い知見と長年の経験に基づいた提言を行い、多くの研究者、実務家、学生に影響を与えています。

まとめ

浅野光行氏は、土木工学を基礎に置きながら、都市計画および交通工学という複合的な分野を深く探求し、研究、教育、学会活動、そして社会への提言を通じて日本の都市環境の発展に多大な貢献をしてきました。その功績は、早稲田大学名誉教授という称号や、日本都市計画学会会長の歴任、そして数々の著作として結実しており、今日の都市計画分野における貴重な礎となっています。

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