浜村孝

浜村孝（はまむら たかし）氏は、1947年4月26日に高知県高岡郡新宇佐町（現在の土佐市）で生まれました。主にプロ野球の遊撃手として活躍した人物です。

学生時代

地元の土佐市立宇佐中学校（現：土佐市立土佐南中学校）から高知市立高知商業高等学校に進学。宇佐中学では1学年上に後のプロ野球界を代表する名選手、有藤通世氏がいました。高知商業では、後に名投手となる江本孟紀氏と同級生として共に汗を流します。高校2年時の1964年には夏の甲子園予選となる南四国大会の準決勝まで駒を進めましたが、徳島商業に敗退。しかし、この大会で3本塁打を記録し、強打の遊撃手としてスカウトから注目を集める存在となりました。同年秋の四国大会では、エース江本氏の好投もあって決勝に進出し、香川の強豪・高松商業を破り見事に優勝を果たしました。この活躍により、翌1965年春の第37回選抜高等学校野球大会への出場権を獲得しましたが、部の不祥事が発覚し、出場を辞退。夏の県予選も出場停止処分を受けるという苦い経験もしました。

プロ入りと西鉄時代

高校卒業を控えた1965年のプロ野球ドラフト会議で、浜村氏は西鉄ライオンズから1位指名を受け、プロ野球選手となる道を選びました。同じく高知商業でチームメイトだった江本孟紀氏も西鉄から4位指名を受けましたが、江本氏は指名順位に納得がいかなかった（とされるが江本氏本人は否定）ことや、大学進学を希望していたことから入団を拒否しました。浜村氏自身も江本氏とともに法政大学のセレクションに参加していましたが、最終的には家庭の事情もありプロ入りを決断しました。西鉄に入団した浜村氏は、高卒新人から読売ジャイアンツを退団するまでの期間、「浜村健史（読みは同じ、はまむら たかし）」という登録名を使用しました。

プロ3年目の1967年には、当時のレギュラー遊撃手であった船田和英氏の故障を機に、遊撃手のポジションに定着。1968年からは、西鉄の往年の名選手、豊田泰光氏がかつて背負った栄光の背番号「7」を引き継ぎ、1969年までチームの主力遊撃手として活躍しました。しかし、1970年のシーズン後半には、同ポジションを菊川昭二郎氏に譲る場面が増えていきました。

巨人への移籍と一度目の引退

1970年オフ、浜村氏はチームメイトの広野功氏と共に、読売ジャイアンツへトレードされることになりました。巨人からは高橋明氏、田中章氏、梅田邦三氏が西鉄へ移籍する大型トレードでした。巨人での最初のシーズンとなった1971年には12試合に先発出場するなど一定の機会を得ましたが、シーズンオフに不慮の事故に遭い、右手の小指を切断するという大怪我を負ってしまいます。この怪我は選手生命に関わるものでした。懸命なリハビリの結果、翌1972年には二軍で実戦復帰を果たしましたが、怪我の影響は大きく、この年限りで一度現役を引退することを決断しました。

再挑戦と二度目の引退

プロ野球界を去った浜村氏は、東京で1年間会社員として働いた後、夫人の実家がある福岡へ移り住み、様々な職業を経験しました。しかし、野球への思いを断ち切ることができず、再びプロの世界に戻ることを目指します。そして1976年、かつて所属した西鉄の後継球団である太平洋クラブライオンズの入団テストを受け、合格。プロ野球選手として復帰を果たしました。この際、登録名を戸籍上の本名である「浜村孝」に戻しました。しかし、復帰後の1977年シーズンは一軍での出場機会を得られず、この年限りで再び現役を引退しました。

引退後のキャリア

二度目の現役引退後、浜村氏は故郷である高知の宇佐中学時代の先輩にあたる有藤道世氏が監督を務めていたロッテオリオンズ（現在の千葉ロッテマリーンズ）で、1988年から1992年までの5年間、コーチとしてチームを支え、若手選手の育成に尽力しました。ロッテ退団後は、故郷である高知県に戻り、家業である水産業を営んでいます。現在は「浜村海産」の代表として、実業家としても活躍しています。

記録など

選手時代の記録として特筆されるのは、西鉄時代の1969年に記録した「開幕からの連続打席無安打 41」です。これは読売ジャイアンツの廣岡大志選手と並び、現在も野手におけるプロ野球記録となっています。

背番号:
16 (1966年 - 1967年)
7 (1968年 - 1970年)
29 (1971年)
33 (1972年)
32 (1976年 - 1977年)
89 (1988年 - 1991年) ※コーチ
74 (1992年) ※コーチ
登録名:
浜村 健史 (1966年 - 1972年)
* 浜村 孝 (1976年 - 1977年)

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