浜松市教育文化会館

浜松市教育文化会館（はまホール）

浜松市教育文化会館、通称「はまホール」は、静岡県浜松市中区（現在の浜松市中央区）にかつて存在した、浜松市文化振興財団が運営する文化施設です。前身である浜松市民会館時代を含め、半世紀以上にわたり市民の文化活動を支える重要な拠点としての役割を担いました。

歴史と果たした役割

この会館は、浜松市の市制50周年を記念する事業の一環として、1961年（昭和36年）7月に「浜松市民会館」として開館しました。開館当初、その規模は東海地方でも屈指のものであり、大きな注目を集めました。以来、市内の小中学校や高等学校による文化発表会、そして様々な市民文化活動の場として幅広く利用されてきました。特に音楽文化の振興に力を入れており、多くのコンサート、演奏会、コンクールがここで開催され、数え切れないほどの音楽家や市民がそのステージに立ち、あるいは客席から音楽に触れる機会を得ました。また、グランドピアノを一般市民が利用できるよう開放するなど、音楽を愛好する人々を積極的にサポートする機能も担っていました。

1995年（平成7年）4月には、青少年等の教育・文化の振興を図り、感性豊かな「はままつっ子」を育てる拠点としての役割をより明確にするため、名称を「はまホール」へと変更しました。しかし、1994年にアクトシティ浜松が開館して以降、大規模な催し物の中心は徐々にそちらへ移っていきました。

施設概要

主要な施設としては、1,492席を備えた大ホールを中心として、リハーサル室、練習室、会議室などが設けられており、多様な用途に対応可能な施設構成でした。

閉館とその背景

開館から50年以上の歳月が経過し、施設の老朽化が進んだことが、閉館の主な理由となりました。また、浜松市内に同等の規模を持つホールが複数存在する状況も、閉館の判断に影響を与えました。2012年には、浜松市が策定した公共施設再配置計画の中で、はまホールの閉鎖方針が示唆されました。そして、2013年11月13日には、浜松市議会の市民文教委員会において、2015年3月末をもって閉鎖する方針が正式に明らかにされました。計画通り、はまホールは2015年3月をもって休館措置が取られ、そのまま再開されることなく、その長い歴史に幕を下ろしました。

後継施設の議論と実現

はまホールの閉館後、浜松市の教育文化会館検証検討会では、市民の文化活動を支えるためにも、はまホールと同等規模の新しい施設を整備する必要性が提言されました。これを受けて、浜松市は2017年に旧浜松市立元城小学校跡地周辺を候補地とする基本構想を策定しました。しかし、この候補地が浜松城の跡地に含まれるため、埋蔵文化財の発掘調査などに十年以上を要する見通しとなり、計画の実現には時間を要することが判明しました。

代替地での検討が進められた結果、新たな市民音楽ホールが建設されることとなりました。そして、2021年6月1日、浜松市北区新都田に後継施設となる「サーラ音楽ホール」（正式名称：浜松市市民音楽ホール）が開館し、はまホールの精神を受け継ぐ形で、再び市民の音楽活動をサポートする新たな拠点としての歩みを始めています。

はまホールは閉館しましたが、その歴史の中で育まれた文化や多くの人々の記憶は、浜松市の文化遺産の一部として今も息づいています。市民の文化振興に果たしたその功績は、長く語り継がれるでしょう。

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