浜松市歌

浜松市歌：歴史と変遷

浜松市には、時代を映す2つの市歌が存在します。一つは1921年（大正10年）に発表され、1971年（昭和46年）に制定された旧市歌。もう一つは、2007年（平成19年）に制定された新市歌です。

旧浜松市歌

旧市歌は、浜松市制10周年を記念して作られました。作詞は文豪・森鷗外、作曲は本居長世が手掛けました。鷗外が作詞を担当したのは、軍医としての友人であった賀古鶴所が浜松出身であったことが縁とされています。

長らく市民に親しまれてきた旧市歌ですが、2005年（平成17年）の浜松市における大規模合併を機に、その存在が見直されることとなりました。合併により市域が広がり、歌詞の内容が新たな市域全体を網羅していないという理由から、旧市歌は廃止されることになったのです。

しかし、旧市歌は今も浜松の地にその足跡を残しています。中央区利町の五社公園には旧市歌の歌碑が残り、賀茂真淵記念館では映像を通して紹介されています。旧浜松市歌は歌詞、旋律ともに著作権の保護期間を満了し、パブリックドメインになっています。

歌詞には、浜松にゆかりのある人物として、賀茂真淵と徳川家康が登場します。しかし、戦後は武力を誇示する趣旨が不適切であるとして、徳川家康を扱った部分が省略されることもありました。

新浜松市歌

合併協議会では、浜松市だけでなく、合併に参加する全ての市町村の自治体歌を廃止し、新たな市歌を制定する方針が決定されました。そこで、市民アンケートを実施し、新市歌にふさわしいイメージやフレーズを調査。その結果をもとに、専門家が作詩・作曲を手掛け、新市歌が誕生しました。

2007年（平成19年）7月1日、「浜松市政令指定都市移行・市制施行96周年記念式」で新市歌が発表され、新たな時代の幕開けを告げました。

浜松市へ編入された市町村の歌

合併によって浜松市に編入された市町村には、それぞれ独自の歌がありました。これらの歌も、旧浜松市歌と同様に廃止されています。

浜北市市制祝歌
天竜市民の歌
舞阪町民の歌
雄踏町歌
伸びゆく町細江
引佐町歌
私のまち三ヶ日
生命は若く

浜松市歌は、時代の変化と共にその姿を変えてきました。旧市歌は浜松の歴史を語り、新市歌は未来への希望を託します。それぞれの歌に込められた想いは、浜松市民の心に深く刻まれています。

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