浜田稔

浜田稔の生涯と業績

浜田稔（はまだ みのる、1902年3月 - 1974年12月）は、日本の建築材料学者および建築防災学者であり、東京大学名誉教授として多くの業績を残しました。大阪に生まれた彼は、建築に関する専門的な知識を深めるため東京大学に進学し、1925年に工学部建築学科を卒業しました。その後、大学院に進み、1927年には同大学の助教授に就任しました。

彼の業績の一つとして、コンクリートに関連する標準化への貢献があります。1929年には建築学会のコンクリート標準仕様書調査委員会の委員を務め、1930年には「コンクリート及鋼コンクリートに関する研究」で工学博士の学位を得ました。この活動が「コンクリートの浜田」と呼ばれる所以となり、彼の名はコンクリート分野での権威として広まりました。

建築防災への取り組み

浜田はコンクリートの研究だけでなく、防火と避難に関しても注力しました。1938年に東京防空司令部の防空研究会委員に選ばれ、戦時中も防災対策の強化に尽力しました。彼は1949年に建築規格原案作成委員会の委員を務め、都市の防火体制の確立や内装材の法制化に貢献しました。1952年には都市不燃火委員会の委員長として、都市の火災対策に関する重要な施策を推進しました。

学際的な貢献

浜田は1962年に東京大学を定年退職した後、東京理科大学に迎えられ、そこでは新設された工学部の初代工学部長としての役割を果たしました。彼の周到な計画と実行力によって、工学部は着実な発展を遂げました。また、1963年には日本コンクリート会議（現在の日本コンクリート工学協会）の設立を提案し、その設立に寄与しました。

受賞歴と著作

浜田の業績は多くの賞によって評価されています。1937年には建築学会学術賞を受賞し、1973年には「都市防災における火災工学の発展に対する貢献」で日本建築学会大賞を受賞しました。また、彼は多くの著作も残しており、その中には『コンクリートの配合について』や『建築材料学』、さらには都市防火に関するさまざまな研究が含まれています。これらの著作を通じて、彼の専門知識が広く知られるようになりました。

浜田稔の遺産

浜田稔は「火災の浜田」や「都市防災の浜田」とも称され、最後まで防災学の第一人者として活躍しました。彼が残した知識や研究は、現在においても建築分野や防災政策に大きな影響を与え続けています。彼の業績は、今後も多くの研究者や実務者にインスピレーションを与えていくことでしょう。

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