浦河町立浦河小学校

北海道浦河郡浦河町常盤に位置する浦河町立浦河小学校は、明治10年（1877年）にその前身が設立された、百三十年を超える歴史を持つ公立小学校です。この学校の始まりは、西南戦争が終結した頃、北海道開拓使浦河分署の官舎を利用して開設された「浦河学校」にさかのぼります。開校に先立つ同年5月には、有志の発起により寄付金を集め、民家を教育の場として生徒十二名に教授を行っていた記録が残されています。その後、官舎への移転時には、教師一名のもと、生徒は二十九名（男子十九名、女子十名）に増えていました。

学校の名称は、明治19年（1886年）に現在の「浦河小学校」となりました。所在地も開校当初は旧浦河警察署、現在の「ミオ」周辺にありましたが、明治21年（1888年）には浜町（現在の「大黒座」付近）に移転しています。さらに明治33年11月15日には、現在の所在地である鱗別（うろこべつ）に新校舎が完成し、移転しました。この11月15日は、現在も開校記念日として大切にされています。鱗別への移転前後、明治35年（1902年）の資料によれば、区域内の戸数は七百三十七戸、人口は三千二百八十一人に対し、就学児童数は三百十八名でした。

本校は、開校以来一貫して「浦河」の名を冠し続け、その長い歴史の中で一万二千名を超える卒業生を社会に送り出してきました。これらの卒業生は、浦河町内だけでなく、全国各地の様々な分野で活躍しています。学校の教育理念もまた、歴史の中で受け継がれています。開校以来の「向学の精神」に加え、明治41年（1908年）には「考えて行え・整頓・清潔」、そして明治43年（1910年）には「至誠をもって事に当たる」という教訓が定められました。特に「至誠の精神」は、長い伝統の中で不易の理念として、浦河小学校出身者の誇りであり、学校の根幹として脈々と受け継がれています。

児童数の推移は、学校の歴史を語る上で特筆すべき点です。昭和初期には千名近い児童が在籍し、特に昭和10年頃から昭和38年（1963年）にかけては、千名から千二百名を超える児童数を擁する、日高管内はもちろん、全道でも有数のマンモス校でした。昭和29年（1954年）には千三百七十八名というピークを記録しています。しかし、その後は児童数が減少に転じ、現在の三階建て校舎が完成した直後の昭和46年（1971年）には七百六名、平成元年（1989年）には四百六十六名、平成13年（2002年）にはさらに半減して二百三十二名となりました。今日では、他の多くの学校と同様に、児童数の減少という課題に直面しています。

施設面では、大正5年（1916年）2月には御大礼記念文庫が附設されています。学校は町の中心部に位置しており、その校下には浦河町役場、消防署、総合文化会館、町立図書館といった公共施設や、保健所、病院などの多くの施設が集まっています。また、港湾を含む商業地域、漁業地域、住宅地域など、多様な地域で構成されています。

このような地域環境のもと、浦河小学校の地域住民や保護者は、学校教育に対して非常に高い関心と期待を寄せています。長い歴史と伝統に裏打ちされた、子どもたちへの深い愛情と健全育成への願いは、特に強く感じられます。学校教育においては、不易の理念である「至誠の精神」を重んじつつ、地域に根ざした新しい時代の教育が展開されています。特に、変化の激しい21世紀を生きる子どもたちが、確かな学力を身につけ、自ら課題を見つけ、解決する力を育むことに重点を置いています。新たな発想に基づいた教育活動は、「新教育発信校」として全道からの期待を集めています。

本校の学区は、大通1丁目から5丁目、昌平町、潮見町、浜町、入船町、常盤町、旭町、東町の全域、月寒、築地1丁目、2丁目となっています。卒業生の多くは、浦河町立浦河第一中学校へ進学します。

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