浦谷信彰

浦谷信彰

浦谷 信彰（うらたに のぶあき）氏は、日本のプロボクシング審判員であり、かつて日本ボクシングコミッション（JBC）の理事を務めた人物である。1958年頃の生まれとされる。

人物・経歴

獨協大学を卒業後、まずリングアナウンサーとしてボクシング界での歩みを始めた。多数のタイトルマッチでコールを担当し、その声は多くのファンに馴染み深いものとなった。世界戦にも数多く携わり、特に1987年7月22日に両国国技館で開催されたWBC世界ジュニア・ウェルター級王座戦、浜田剛史対レネ・アルレドンド第2戦や、1989年12月10日に後楽園ホールで行われたWBA世界ウェルター級王座戦、マーク・ブリーランド対尾崎富士雄戦などでリングを彩った。

1987年、リングアナウンサーから審判員へと活躍の場を移した。長きにわたり、レフェリーおよびジャッジとして国内のリングで多くの試合を公正に裁くとともに、WBC公認審判員として海外でも世界タイトルマッチのジャッジを務め、国際的な経験を積んだ。これまでに10,000試合以上を裁いた経験を持ち、その卓越した技術と知識はWBCの審判員向けビデオ教材にも採用されるほどである。この実績から、日本を代表するボクシング審判員の筆頭として広く認知される存在となった。

特に、1994年に行われたWBC・WBA世界バンタム級王座統一戦、薬師寺保栄対辰吉丈一郎という日本ボクシング史に残る一戦では、森田健氏とともにジャッジを務めた。

ボクシング界への貢献は審判活動にとどまらず、2015年2月24日には日本ボクシングコミッション（JBC）の本部事務局長に就任。さらに同年10月6日には、新設された統括本部長職を兼務するなど、JBCの運営にも深く関与した。

しかし、2022年には、JBCの解散決議が行われた事態を受け、理事職を辞任した。その後、JBCは寄付によって財政問題が解決し、一般財団法人として活動を継続することとなったが、浦谷氏はそのままJBCを退いている。

エピソード

浦谷氏のキャリアの中で、注目を集めたエピソードがいくつか存在する。2000年8月1日に行われた保住直孝対鈴木悟の日本ミドル級タイトルマッチでは、第8ラウンドに鈴木選手が保住選手をロープ際に追い詰めた際にダウンを宣告し、カウントを開始した（この後、鈴木選手は2度目のダウンを奪って勝利し王座を獲得）。この判定は、立ったままの選手に対して行われたため、「スタンディングダウン」ではないかと疑問の声が上がった。これに対し、浦谷氏は後に、ロープに体を預けて防御不能になった状態と判断した「ロープダウン」であったと説明している。

また、2007年3月24日の亀田興毅対エベラルド・モラレス戦では、浦谷氏がジャッジを務める中、亀田興毅選手の父である亀田史郎氏から判定に関して激しい抗議を受け、さらに暴言を浴びせられるという事態が発生した。この件に対し、日本ボクシングコミッションは亀田サイドに厳重注意を行い、謝罪文の提出を求めた。

長年の審判活動とJBCでの要職を通じて、日本のボクシング界の発展に寄与した人物として知られている。

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