浦野光

浦野 光（うらの ひかる）

浦野光は、1931年9月22日に神奈川県で生まれ、2018年5月2日に86歳で亡くなった、日本の声優、俳優、ナレーターです。育ちの地は小田原市ですが、父の職業の影響で東京や三重県四日市市にも住んでいました。彼は早稲田大学商学部を卒業後、放送劇団に参加し、声優としてのキャリアをスタートさせました。

来歴

彼は1953年に中部日本放送の放送劇団に二期生として入団しました。その後、ナレーターとしてデビューし、3年後にはラジオ東京放送劇団に移籍して洋画吹き替えに取り組みました。その後、フリーとして数々のタレントエージェントやシナリオ文芸協会に所属し活動を続けます。

浦野は、テレビの初期から声を発し、多くのラジオドラマや洋画の吹き替えを手掛けました。特に、アメリカの俳優ジェームズ・スチュアートやロバート・ミッチャムの声を担当したことが特筆されます。これはNETテレビのプロデューサーである植木明によるキャスティングによるもので、スチュアート作品にほとんど出演しています。

彼のナレーション業務では特に『ウルトラマン』や『ウルトラセブン』といった作品での淡々とした語り口が注目されましたが、『ポパイ』や『世界の料理ショー』などでは、非常に高いテンションでの演技を見せ、演技の幅広さを示しています。

また、1960年代から90年代まで、花王提供の各ワイドショー番組で生コマーシャルを行い、その存在を広く知られるようになりました。逝去前の活躍ともいえるものとして、彼の在りし日の映像作品やインタビューがあります。

人物とエピソード

浦野は、演技に対して非常に真摯に向き合っていました。彼は「不自然な演技は元の俳優に失礼である」と考え、自身の声を大きく変えることはありませんでした。若手声優に対しても、自分自身の声を用いずに変えることから始まる表現に対して苦言を呈していました。彼自身は自然体での演技を心掛け、過去の名作でのイメージを引きずることには抵抗感を持っていると述べていました。

現役時代、浦野は多くの作品でポパイを演じましたが、再演のオファーには応じることが少なく、後のインタビューでは「昔のままで思われるのは悲しい」と語っています。しかし実際には1990年代後半までポパイとしての役を続けていました。彼が語ったエピソードの中には、出演作品の名前を思い出したくないという感情が見受けられ、それが彼の役者としての悩みでもありました。

晩年には活動を控えつつも、イベントやインタビューに登場し、かつての役を再演することもありました。特に2008年4月に放送されたテレビ番組では、京田尚子と共に約50年ぶりに声の共演を果たしました。

趣味は釣りや洋蘭の園芸で、プライベートな時間も豊かに過ごしていたようです。

主な出演作品

浦野光は非常に多様な分野で活躍し、数々の作品に声を吹き替えました。ジェームズ・スチュアートの作品や、特撮作品、テレビドラマなど多岐に渡ります。バラエティ番組やCMモデルとしても知られ、特に花王の製品紹介などで生放送のCMに出演しました。

彼の声は、今なお多くのファンの心に刻まれており、彼の存在は声優界において重要な位置を占めています。

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