浪岡城

浪岡城（なみおかじょう）

浪岡城は、青森県青森市浪岡地区に位置する平山城です。15世紀後半に、この地を治めていた浪岡北畠氏によって築城されました。1578年には大浦為信（後の津軽為信）の攻撃を受け落城しましたが、その歴史的価値から、1940年に青森県内で初めて国の史跡に指定されました。2017年には続日本100名城にも選定され、現在では多くの人が訪れる歴史的な観光スポットとなっています。

歴史

浪岡城は、1373年に平安京を模して四隅に神社が配置された場所に築かれました。その後、北畠家の支族である浪岡北畠氏の居城として、15世紀後半の長禄年間、応仁年間、または文明年間のいずれかに北畠顕義によって築城されたとされています。中でも応仁年間に築城されたという説が有力です。1578年、9代当主の北畠顕村の代に、大浦為信によって攻め落とされ、その歴史に幕を閉じました。現在、城跡には、発掘された遺物を展示する「中世の館」や、土塁、堀跡などが残されており、当時の様子を偲ぶことができます。

構造

浪岡城は東西1200m、南北600mの広大な敷地を持ち、二重の堀で区切られた8つの館（郭）から構成されています。各館は丘陵を掘り切るように造られており、それぞれが特徴的な構造を持っています。以下に各館の詳細を示します。

内館: 城主の居館があった主郭で、東西約120m、南北約85mの広さです。南に正門、北に裏口があり、土塁に通じています。
西館: 内館の西に位置し、東西は北から約80m、100m、18m、南北約150mの広さです。北館と検校館の間には二重の掘割があり、その中央には土居が築かれています。
北館: 内館と西館の北に位置し、城内で最も広い郭です。東西約200m、南北約100mの広さで、二重の堀で囲まれ、堀の中央に土居があります。家臣の屋敷があった場所でもあります。
東館: 北館の東に位置し、最広部で東西約120m、南北約70mの広さです。北と南に二重の堀があり、南の猿楽館との間の堀には中央に土居があります。浪岡城落城後には、一時的に代官所が置かれた場所でもあります。
猿楽館: 内館の東、東館の南に位置し、最広部で東西約80m、南北約80mの広さです。西と北に二重の堀があり、東は断崖になっています。この地で猿楽が催されたことからこの名が付けられました。
検校館: 西館の西に位置し、東西約80m、南北約180mの広さです。検校屋敷とも呼ばれ、東側に二重の堀、その他全方向に堀があります。
新館: 東館の東、国道南側に位置し、南北約90m、東西は不明です。西に掘割があり、南は断崖になっています。浪岡を補佐する目的で置かれた津軽郡代関係の武士の居館であったと考えられています。

現在

現在は、史跡公園として整備されており、犬を連れての散歩も可能です。城跡内には「中世の館」があり、発掘された遺物の展示を見学できます。また、土塁や堀跡も残り、当時の城の様子を偲ぶことができます。漫画家の手塚治虫が週刊少年ジャンプに連載した漫画「百物語」では、浪岡城が主要な舞台として描かれていますが、史実に基づいたものではありません。

アクセス

所在地: 青森県青森市浪岡大字浪岡字岡田43番地
鉄道: JR東日本奥羽本線 浪岡駅から徒歩15分
自動車: 東北自動車道 浪岡ICから車で15分

参考文献

『日本歴史地名大系』（オンライン版）小学館
『津軽諸城の研究』沼館愛三著 (1981)
『浪岡城跡　昭和52年度浪岡城跡発掘調査報告書』浪岡町教育委員会(1978)

外部リンク

史跡 浪岡城跡 - 青森市
浪岡城物語―浪岡城の謎を紐解く― (PDF) - 青森市
青森市中世の館 - 青森市
浪岡城跡 - 青森県
全国遺跡報告総覧（奈良文化財研究所）

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