海の上のピアニスト

映画『海の上のピアニスト』

『海の上のピアニスト』（うみのうえのぴあにすと）は、1998年に公開されたイタリアのドラマ映画で、監督はジュゼッペ・トルナトーレが手掛けています。本作はアレッサンドロ・バリッコの独白劇『ノヴェチェント』を原作としており、主演にはティム・ロスが名を連ねています。この映画は、豪華客船の中で生まれ育ったピアニストの運命を描いた感動的な物語です。

物語の背景

舞台は第二次世界大戦の終戦直後。物語は音楽家マックス・トゥーニーがトランペットを金に換えるために楽器屋を訪れるところから始まります。トランペットを売った後、彼はその楽器を再び吹かせてほしいと店主に頼みます。こうして彼は「1900」と呼ばれる人物の物語を耳にすることになります。

1900は大西洋を渡る豪華客船ヴァージニアン号の中で、黒人機関士ダニー・ブートマンに拾われた赤ん坊です。ダニーは彼を大切に育て、「ダニー・ブードマン・T.D.レモン・1900」と名付けました。8歳の時にダニーを失った1900は、その葬儀で流れた音楽に惹かれ、ピアノの演奏を始めます。

音楽と友情

成長した1900とマックスは、ある嵐の夜に運命的に出会い、船内で共に音楽を演奏します。1900の音楽は船内に広がり、多くの乗客を魅了しました。その中で、ジャズの先駆者ジェリー・ロール・モートンもその噂を知り、彼にピアノ演奏で勝負を挑んできます。1900はその試合で見事にモートンを打ち負かし、彼の名声がさらに高まります。

しかし、1900の心は次第に一人の女性に向かっていきます。彼女に出会った瞬間、1900は一目惚れします。録音の際に彼女を見かけ、アルバムには彼の愛が込められた演奏が記録されますが、契約が成立する前に音楽を持ち去ってしまいます。

自らの運命を選ぶ

彼女が船を降りる日、1900は彼女に会うために船を降りる決意をします。しかし、その途中で何も言わずに船に戻ってしまいます。彼は自由を求めつつも、船の上で生き続けることを選ぶのです。その後、仲間のマックスは船を降り、1900だけが留まります。

やがて1946年、マックスはヴァージニアン号を解体するための作業が行われると知らされ、船内に残る1900を必死に探し求めます。船が沈む運命にある中、マックスは1900の姿を発見し、彼を連れ出そうとしますが、1900の船に留まる理由を知り、何も言えなくなります。

終焉と新たな始まり

最終的に、マックスが船を降りた後、ヴァージニアン号は爆音と共に海に沈んでいきます。物語はマックスがトランペットを返されながら、その後を静かに去るところで幕を閉じます。音楽、友情、愛、自由といったテーマが色濃く描かれた『海の上のピアニスト』は、鑑賞者に深い感動を与える名作です。

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