海を駆ける

海を駆ける

『海を駆ける』は、2018年に公開された日本・フランス・インドネシアの合作映画です。監督・脚本は、カンヌ国際映画祭で評価された深田晃司が務め、主演はディーン・フジオカが演じています。インドネシアのバンダ・アチェを舞台に、一人の記憶を失った男の出現から始まる、人々の交流と心の葛藤を描いた作品です。

概要

本作は、深田晃司監督が長年温めてきたオリジナル脚本を基に制作されました。主演のディーン・フジオカをはじめ、鶴田真由、太賀、阿部純子といった日本の実力派俳優に加え、アディパティ・ドルケン、セカール・サリなど、インドネシアの俳優も出演しています。撮影はインドネシアでオールロケーションで行われ、異国情緒あふれる風景が物語を彩っています。

物語の舞台となるバンダ・アチェは、2004年のスマトラ沖大地震で甚大な被害を受けた場所です。映画には、復興が進む街の様子や、人々の心の傷跡が反映されています。日本、インドネシア、フランスの共同制作という形で作られ、それぞれの文化が融合した独特の雰囲気が魅力です。

ストーリー

物語は、インドネシア・スマトラ島のバンダ・アチェで、海岸で行き倒れていた正体不明の男ラウ（ディーン・フジオカ）が発見されるところから始まります。ラウは記憶を失っており、片言の日本語やインドネシア語を話す程度。彼は、NPO法人で災害復興の仕事をする貴子（鶴田真由）や、その息子のタカシ（太賀）、日本から来た親戚のサチコ（阿部純子）と出会い、彼らの生活に奇妙な変化をもたらします。

タカシの同級生であるクリス（アディパティ・ドルケン）や、ジャーナリストのイルマ（セカール・サリ）も巻き込み、ラウの存在は周囲に不思議な出来事を引き起こしていきます。ラウとは一体何者なのか？ 物語は、ラウの正体を巡る謎と、人種や国籍、宗教を超えた若者たちの友情、そして人生の不条理を描き出していきます。

キャスト

ラウ：ディーン・フジオカ
タカシ：太賀
サチコ：阿部純子
クリス：アディパティ・ドルケン
イルマ：セカール・サリ
貴子：鶴田真由

スタッフ

監督・脚本・編集：深田晃司
音楽：小野川浩幸
製作：新井重人
撮影：芦澤明子

評価

『海を駆ける』は、深田晃司監督ならではの繊細な演出と、異文化が交錯する中で生まれる人間模様を描いた作品として評価されています。記憶を失った男の存在を通して、人間のアイデンティティや、国境を越えた繋がりについて深く考えさせられる内容となっています。

関連情報

小説版：深田晃司『海を駆ける』（文藝春秋、2018年）
公式サイト

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