海上における人命の安全のための国際条約

海上における人命の安全のための国際条約（SOLAS条約）

SOLAS条約（International Convention for the Safety of Life at Sea）は、船舶の安全に関する国際的なルールを定めた多国間条約です。この条約は、船舶の構造、設備、運航に関する安全基準を定め、人命の安全確保を目的としています。英語名から「SOLAS条約」とも呼ばれています。

歴史

SOLAS条約は、1912年のタイタニック号の沈没事故を契機として、船舶の安全確保の必要性が高まったことから制定されました。最初の条約は1914年に締結されましたが、第一次世界大戦の影響で発効には至りませんでした。その後、1929年に修正条約が締結され、1933年にようやく発効しました。

その後も、1948年、1960年と改正が重ねられ、技術革新に対応するための迅速な改正を可能とするため、1974年に現行のSOLAS条約が締結されました。日本は1980年5月15日にこの条約に加入しています。

特に重要な改正としては、2001年のアメリカ同時多発テロ事件を受けて2002年に行われた改正が挙げられます。この改正では、テロ対策として港湾施設の保安対策強化が義務付けられ、ISPSコード（国際船舶・港湾保安コード）が導入されました。このISPSコードにより、外航船と国際港湾は、保安対策を講じる必要が生じ、運送業者の費用負担が増加し、荷主へのコスト転嫁が行われるようになりました。また、この改正により、自動船舶識別装置（AIS）の搭載が義務化されました。

SOLAS条約の指定区域への不法侵入は、通常の不法侵入よりも厳しく罰せられる可能性があり、管理者も処罰の対象となる場合があります。

日本のSOLAS指定港湾

2015年時点で、日本では111か所の港湾がSOLAS条約の指定を受けています。最も指定港湾が多いのは北海道で、石狩港、小樽港、留萌港、函館港など、13港が指定されています。これらの港湾では、国際船舶・港湾保安法に基づき、制限区域設定などの保安措置が実施されています。

1974年SOLAS条約

現在のSOLAS条約は、1974年に締結された条約とその後の改正によるものです。条約の構成は以下の通りです。

条約本文
締約国の義務・適用範囲
不可抗力の場合や非常事態における適用除外
1960年条約の廃止
改正手続き
発効要件
附属書
第1章：一般規定
第2-1章：構造（区画、復原性、機関、電気設備）
第2-2章：構造（防火、火災探知、消火）
第3章：救命設備
第4章：無線通信
第5章：航行の安全
第6章：貨物の運送
第7章：危険物の運送
第8章：原子力船
第9章：船舶の安全運航の管理
第10章：高速船の安全措置
第11-1章：海上の安全性を高めるための特別措置
第11-2章：海上の保安を高めるための特別措置
第12章：ばら積み貨物船の追加的安全措置

これらの規定は、船舶の安全を確保するための重要な基盤となっています。SOLAS条約は、技術革新や新たな脅威に対応するため、今後も改正が続けられると考えられます。

外部リンク

条約'>1974年の海上における人命の安全のための国際条約]（SOLAS[条約の沿革など） - 国土交通省
* International Convention for the Safety of Life at Sea (SOLAS), 1974,-1974.aspx) - 国際海事機関による本条約に関する概説（英文）

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