海上作戦部隊指揮管制支援システム

海上作戦部隊指揮管制支援システム（MOFシステム）

海上作戦部隊指揮管制支援システム、略してMOFシステムは、海上自衛隊が運用するC4Iシステムの一つです。このシステムは、自衛艦隊指揮支援システム（SFシステム）を基に、航空集団司令部のASWOC管制ターミナルや佐世保地方総監部の作戦システムを統合して開発されました。さらに、2014年度末には海上自衛隊指揮統制・共通基盤システム（MARSシステム）への発展がなされ、より一層の通信ネットワークの強化が図られています。

MOFシステムの来歴

MOFシステムの起源は1975年に稼働を開始したSFシステムに遡ります。SFシステムはその後、2度の近代化を受けましたが、平成中期には再度の更新が必要であることが見込まれました。特に、航空集団司令部および総監部作戦システムの近代化が求められ、次期SFシステムは単なる更新に留まらず、新たなC4Iシステムへと生まれ変わることが目指されました。

1989年から初期検討が開始され、1992年度より本格的な調査が行われました。1995年には海上幕僚副長を委員長としたMOFシステム開発推進委員会が発足し、次第に開発は加速しました。開発の過程では、NTTデータとの契約が結ばれ、日立製作所や富士通、三菱電機も参画。さらに、開発が進む中で、初期の失敗を教訓に、海自側のニーズを反映するために継続的なフィードバックが行われました。

MOFシステムの構成

MOFシステムは、以下の方針のもとで構築されました：
1. 関連システムとの整合性: 他のシステムとの接続を確保しました。
2. 機能の再構築と拡張性の確保: 現有機能の優先的な再評価を行い、将来的な機能拡張も視野に入れています。
3. 標準化指針の適用: 防衛庁による電算システム標準化指針を適用し、一貫性を持たせました。
4. 最新の技術の活用: 先進的なシステム構築技術を積極的に導入しました。

特に特徴的なのは、SFシステムが中央集約型のメインフレーム方式であったのに対し、MOFシステムはクライアントサーバモデルを採用し、分散処理型のシステムとして設計されています。これにより、コストの削減が図られ、効率的な運用が実現されています。また、システムのオペレーティングシステムとしてはMicrosoft Windows NTが選ばれ、使いやすさが大いに向上しました。

指揮管制支援ターミナル（C2T）

MOFシステムの一環として開発されたC2Tは、艦艇搭載用の洋上端末です。従来のSFシステムに比べ、情報処理能力が大幅に強化されました。C2TにはGPS情報の処理や海上自衛隊の通信システムへの接続、さらには独自の戦術判断支援機能が搭載されているため、操縦の精度が向上しています。

C2TとMOFシステムの開発には多くの困難が伴いましたが、最終的にはこれらの課題を克服し、逐次艦艇への搭載が進められています。特に、2009年就役のDDH「ひゅうが」をはじめとした艦艇には、高度な機能が実装されています。

MOFシステムは発展を続け、様々な自衛隊の機能との統合や情報の共有を可能にするMARSシステムへと進化しており、その重要性は今後も高まることが期待されます。

もう一度検索