海上衝突予防法

海上衝突予防法

海上衝突予防法（昭和52年制定）は、1972年に採択された国際的な海上衝突防止の規則（COLREGs）に基づき、日本の海上交通における安全を図るための法律です。この法律では、民間船舶や軍艦といったあらゆる種類の船舶が平時において遵守すべきルールを定めています。

背景

この法律は、昭和28年に制定された海洋衝突予防法を全面的に改正する形で成立しました。衝突のリスクを軽減するために、国際的に統一された一般的なルールを設け、海域内の船舶が円滑に運航できるようにしています。

基本的な原則

法律の基本的な原則は「動きやすい船が動きにくい船を避ける」というもので、これにより大きな船舶の運行が優先されることとなっています。ただし、密輸船等に対する公船の法執行の場面を除き、平時において公船や軍艦が他の船舶よりも特別扱いされることは国際法的に認められていません。

構成

この法律は、以下の章に分かれて構成されています：

1. 総則（第1条-第3条） - 法の目的や基本的な考え方を定めます。
2. 航法 - 船舶の航法に関する具体的な規定が分かれた節に示されています。特に、視界が制限される状況や他の船舶との関係での航法に焦点を当てています。（第4章-第19章）
3. 灯火及び形象物（第20条-第31条） - 船舶が表示するべき灯火やその他の形象物について定義します。
4. 音響信号及び発光信号（第32条-第37条） - 船舶同士のコミュニケーション手段としての音や光の信号についての規定です。
5. 補則（第38条-第42条） - その他の必要事項が規定されています。

船舶の範囲

海上衝突予防法では、「水上輸送の用に供する船舟類」が対象となっているため、ディンギーや水上オートバイなども含まれるとされています。しかし、ウィンドサーフィンは除外されることが通説であり、海上保安庁もこの解釈を支持しています。ただし、国際規則においてこの点における明確な記載はないため、異なる見解も存在します。

海上交通安全法との調和

海上交通安全法も海上の交通安全を目的としていますが、特に船舶交通が混雑する区域でその適用が求められます。海上交通安全法の規定は、特定の航路においては海上衝突予防法よりも優先されることが明示されています。

まとめ

海上衝突予防法は、日本国内における海上交通の安全性を確保するために欠かせない法律であり、国際的なルールと整合性を持ちながら制定されています。これにより、船舶が衝突を未然に防ぎ、円滑な海上交通を実現することが期待されています。

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