海溝の概要
海溝(かいこう、英: trench)とは、
海底に形成されている細長い凹地で、非常に深い部分を指します。深さは最大で水面下1万メートルに達することもあります。
海溝は、その形状と深さから、特定の
海底
地形として分類されており、急勾配な斜面を持つのが特徴です。
プレートテクトニクスの視点から見ると、
海溝は
海洋
プレートが他の
地殻プレートの下に沈み込む
沈み込み帯として認識されています。この沈み込みが進行する場所では、
海洋
プレートに沿った薄い板状の
地震多発地域(和達・ベニオフ帯)があることが多く、その上面では逆
断層型のずれが観察されます。これにより、
海洋
プレートが沈み込んでいる証拠となっており、最近の研究では
海山が分裂しながら
海溝に沈んでいく現象も発見されています。
海溝は、主に活動的な
大陸辺縁部で形成されます。
プレート境界に近いため、
大陸棚が狭く急勾配な
大陸斜面を形成し、そこから
海溝が生じるのです。一方で、
プレート境界から離れた場所の
大陸辺縁部は、広い
大陸棚と緩やかな斜面が特徴であり、深
海平原に広がっています。活動的な辺縁部では
地震や火
山活動が多く見られますが、安定した
大陸辺縁部では、これらの活動はあまり見られません。
トラフとの違い
海底の構造にはトラフ(trough)も存在し、
海溝と類似の特徴を持っています。一般に、深さが6,000メートルを超える場所を
海溝とし、それより浅い場所がトラフと呼ばれます。例えば、
南海トラフなどの地域は、浅さでは
海溝と異なりますが、同じく
沈み込み帯で形成されています。
地震・火山活動との関連
海溝では、沈み込む
海洋
プレートとその上の
プレートとの摩擦による急激なずれが
地震の原因となります。このため、
海溝型
地震と呼ばれる
地震が発生し、例えば
南海地震や東
海地震などはこの現象が関与しています。また、
海洋
プレート自体が割れることや、その上に位置する
プレートが圧力で割れることも多いため、
海溝周辺は
地震が多発します。
海溝が沈み込むことで、一定の深度に達すると
岩石が融解し、
マグマが生成されます。この
マグマが上昇し、火
山を形成することから、火
山帯が
海溝と並行して存在します。
有名な
海溝としては、マリアナ
海溝があります。この地域で最も深い部分はチャレンジャー
海淵と呼ばれ、深
海探査艇によって到達されたことがあります。また、
海溝内では
湧水域と呼ばれる場所も存在し、ここでは
堆積物に含まれる間隙水が地層から押し出されており、
硫化水素や
メタンを含む
海水が湧き出ています。
南海トラフや日本
海溝、バルバドス
海域などでもこの現象が確認されています。
社会的な影響
日本では、株式市場に関連して「
海溝」という言葉が比喩として使われることもあります。特に価格の大幅な下落や、深い状態を象徴する表現として利用されています。
地震や火
山のリスクをもたらす
海溝は、自然の動態だけでなく、人々の生活にも大きな影響を与える要因となっています。