海老ヶ池

海陽町の秘境、海老ヶ池：四国唯一の天然湖と大蛇伝説

徳島県海部郡海陽町、室戸阿南海岸国定公園内にある海老ヶ池は、四国地方で唯一の天然湖としてその名を馳せています。国土交通省のコード登録湖沼にも指定されており、その面積は18ヘクタールにも及びます。

この神秘的な湖の誕生は、1609年（慶長14年）に発生した慶長地震に遡ります。この大地震によって、海岸線付近の地盤が隆起し、現在の海老ヶ池が形成されたと考えられています。名前の由来は諸説ありますが、明確な記録は残されていません。現在もその美しい姿は、多くの観光客を魅了し続けています。

湖畔には、浅川湾岸まで続く遊歩道が整備されており、四季折々の自然を満喫できる散策コースとなっています。緑豊かな自然に囲まれながら、ゆったりと散策したり、湖面に映る景色を眺めたりと、時間を忘れて癒やされるひとときを過ごせます。

海老ヶ池周辺には、レクリエーション施設も充実しています。湖の西側には、海老ヶ池園地、南阿波ピクニック公園、蛇王運動公園といった公園が点在し、家族連れで一日中楽しむことができます。さらに、まぜのおかオートキャンプ場や海南文化村も近隣にあり、キャンプや文化体験など、多様なアクティビティを楽しむことが可能です。

しかし、海老ヶ池の魅力は、雄大な自然だけではありません。古くからこの地には、大蛇の伝説が語り継がれています。

その昔、土佐国で庄屋を営む夫婦が、子どもを授かりたいと願って、阿波国一の湖である海老ヶ池を訪れました。そこで夫婦は腹痛に襲われ、土佐に帰郷すると女児を出産します。夫婦は彼女を玉枝と名付け大切に育てました。しかし、時が経つにつれ、玉枝の正体が大蛇であることが判明します。

玉枝は、育ててくれた夫婦への感謝の意を表し、空へと舞い上がっていきました。そして、毎年大晦日になると、嵐を呼ぶように海老ヶ池に戻り、池の端で着物を干す姿が目撃されると伝えられています。

この大蛇伝説は、海老ヶ池をさらに神秘的な雰囲気で包み込み、訪れる人々の心を掴んで離しません。自然と伝説が織りなす、独特の風景は、きっと忘れられない思い出となるでしょう。

海老ヶ池は、単なる湖ではなく、自然と歴史、そして伝説が一体となった、貴重な存在です。四国を代表する観光スポットとして、これからも多くの人々に愛され続けることでしょう。

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