海老原穆

海老原 穆 - 明治のジャーナリストと軍人

海老原穆（えびはら ぼく、1830年1月27日 - 1901年6月）は、日本の明治時代における著名なジャーナリストであり、陸軍の軍人でもありました。彼は薩摩藩の出身で、家族は島津家に仕えていました。父の海老原宗之進は、その影響力のある立場から、穆にも大きな足跡を残すことに影響を与えたと考えられています。

戊辰戦争への出陣

彼の軍歴は、明治元年（1868年）に始まります。この年、彼は戊辰戦争に薩摩軍の一員として参加し、当時の国内情勢に多大な影響を及ぼしました。戊辰戦争は旧幕府軍と新政府軍との間での争いであり、海老原もこの時期に国家への深い思いを持つようになったと言われています。

陸軍大尉としてのキャリア

その後の明治4年（1871年）、彼は西郷隆盛の信任を受けて上京し、陸軍大尉に任命されます。西郷は当時、新政府で重要な役職にあったため、穆も多くの経験を積む機会を得ました。しかし、明治6年（1873年）には、政治的な変革が起こります。西郷が明治六年政変により辞任したことを受けて、穆も軍職を辞する決断をしました。この決断は彼がどれだけ西郷を尊重していたかを物語っています。

言論活動と逮捕

明治8年（1875年）、海老原は集思社を設立し、自らが発行する「評論新聞」を創刊します。この新聞では、当時の太政官政府に対して鋭い批判を展開し、特に大久保利通への批判は強烈なものでした。この動きは、政府にとっては脅威となり、彼は言論出版を取り締まる法律、すなわち讒謗律により逮捕されることに繋がります。

晩年と死

彼の後半生は、政治的な圧力の中で過ごしたと言えますが、国の発展に寄与した業績を持っています。海老原は横浜で生涯を閉じ、享年73歳という長い人生を送りました。彼の墓所は青山霊園にあります。

文化的影響

海老原穆の生涯は、近代日本における言論活動や政治参加の重要性を示しています。彼の活動は、後の世代に対しても影響を及ぼし、彼が関わった作品やメディアは、今日でも日本の文化の一部として残り続けています。たとえば、1990年に放送されたNHK大河ドラマ「翔ぶが如く」では、彼に関するエピソードが描かれ、広く知られる人物となりました。特に、彼のジャーナリストとしての姿勢や、政府に対する批判の態度は、後のジャーナリストたちにも影響を与えたとされます。ただ単に軍人としてだけでなく、社会に対する意見を持つ一市民としての彼の姿も、多くの人々に共鳴しています。

もう一度検索