海軍乙航空隊の概要
海軍乙航空隊(かいぐんおつこうくうたい)は、
日本海軍における航空部隊の一つで、主に基地防衛や輸送ミッションを担う陸上部隊です。1944年の空地分離方式の導入によって編成され、その必要性は早くから認識されていましたが、実際には航空兵力の集中が求められる中で、その体制が整えられました。乙航空隊は「甲航空隊」と対照的に、航空機の保有数が限られており、地名や方面名を冠した部隊が編成されました。
編制の背景
1944年7月10日、
源田実参謀の指揮のもと、空地分離という新しい方式が導入され、乙航空隊は設立されました。この方式によって航空兵力の移動集中が可能となり、厳しい状況においても作戦を続けることができるようになりました。基地任務に特化した乙航空隊は、航空戦隊を持たず、徐々にその数を増やしました。
乙航空隊の編成と主な部隊
乙航空隊の最初の編成は、以下のような重要な航空隊です:
東カロリン海軍航空隊
- - 編成日: 昭和19年7月10日
- - 拠点: トラック諸島・春島飛行場
- - 任務: 孤立したカロリン諸島・マーシャル諸島の防衛を担当
西カロリン海軍航空隊
- - 編成日: 昭和19年7月10日
- - 拠点: ペリリュー飛行場
- - 特徴: 潜在的な部隊で、ほとんどの航空活動が行われなかった。
マリアナ海軍航空隊
- - 編成日: 昭和19年7月10日
- - 拠点: サイパン島
- - 状況: 迅速に膨大な損失を被り、実質的な機能を失った。
濠北海軍航空隊
- - 編成日: 昭和19年7月10日
- - 拠点: セラム島・アンボン飛行場
- - 任務: フィリピン防衛に備え、関連する基地の防衛を担当。
菲島海軍航空隊
- - 編成日: 昭和19年7月10日
- - 拠点: ルソン島ニコルス飛行場
- - 特徴: 他の航空隊と協力しながら、フィリピン全域の防衛に当たる。
台湾海軍航空隊
- - 編成日: 昭和19年7月10日
- - 拠点: 新竹飛行場
- - 活動: フィリピン支援作戦や海峡越えの作戦に従事した。
乙航空隊の多様性と役割
乙航空隊は、戦局の推移とともにその役割を変化させました。例えば、内南洋や
フィリピン、
マレー半島など、地理的な要因に応じて様々な名の航空隊が編成されました。これらの部隊は、各地の航空基地を守るとともに、戦闘の激化に伴う戦略的要求に応じて、指揮系統や編成が見直されることもありました。
特に1945年には、多くの乙航空隊が戦術的後退と再編成を余儀なくされ、最終的には多くの部隊が戦後解隊されていきました。乙航空隊は
日本海軍の航空戦力の中で重要な役割を果たし、基地防衛の使命を持つ一方で、戦闘の厳しさに直面しました。
まとめ
海軍乙航空隊は、
日本海軍の航空部隊として独自の役割を担い、基地の防衛や支援活動を行った重要な部隊です。その多くが悲劇的な状況下で戦いながら、その活動を通じて基地航空戦の一端を支えました。乙航空隊の歴史は、困難な戦局における
日本海軍の苦闘と、その中で支え合った部隊の様子を物語っています。