海軍信号

大日本帝国海軍における通信手段：海軍信号

海軍信号とは、大日本帝国海軍において、艦船間や陸上との通信、連絡に用いられた信号方式の総称です。これらの信号は、情報を迅速かつ正確に伝達するために、様々な方法と機器が用いられました。

海軍信号の種類

海軍信号は、大きく分けて以下の二つに分類できます。

視覚信号: 旗旒や灯火など、目視によって情報を伝達する方式です。
聴覚信号: 号砲や汽笛など、音によって情報を伝達する方式です。

さらに、艦船内での通信と艦船外との通信に分けることもできます。

艦内通信

艦内通信には、主に以下の機器が使用されました。

メガホン: ラッパ状の拡声器で、肉声を拡大して伝えるのに用いられます。陸上でも一般的に使用されました。
伝声管: 艦橋と機関室、射撃指揮所と砲側など、艦内の要所を連絡するための管です。メガホンと同様に、肉声をそのまま伝えます。直径6cm～10cm程度の細い管が使用されました。
高声電話: 伝声管と同様に、艦内の各部署間で情報を伝達するために用いられます。
特殊な艦内通信装置: 射撃や水雷発射など、特定の目的のために使用される特殊な通信装置も存在しました。

艦外通信

艦外通信には、主に以下の機器や方法が使用されました。

手旗: 昼間に使用される、手で操作する旗です。
腕木通信機: 腕木の角度を変えることで、情報を伝達する装置です。
信号旗: 万国信号旗と海軍信号書を併用し、旗の組み合わせによって意味を伝えます。昼間に使用されます。
信号灯: 夜間に使用される、灯火の点滅でモールス符号を伝達する装置です。
信号用探照灯: 信号灯と同様に、灯火の点滅でモールス符号を伝達します。昼夜問わず使用可能です。
無線電信: 電波を用いて情報を伝達します。昼夜問わず使用可能です。日本海海戦以前に実用化されました。
電話: 音声により情報を伝達します。無線電信と同様に、昼夜問わず使用可能です。
汽笛、汽角: 海上衝突予防や霧中航行時など、警戒や合図に用いられます。
* 号砲、号火、火箭: 合図や警戒、呼集などの目的で使用されます。

信号旗を用いた通信

信号旗を用いた通信では、万国信号旗と海軍信号書が併用されました。信号書には、信号旗1つ、または複数の組み合わせごとの意味が記載されています。例えば、旗艦が部下の艦船に「直ちに出港準備をなせ」という信号を送る場合、まず信号書で該当する信号旗の綴り方を確認し、その通りに旗を掲揚します。他の艦船では、掲揚された旗を見て、信号書と照らし合わせてその意味を理解します。

日本海海戦で用いられた「皇国の興廃」の信号も、この方法で伝達されました。

無線電信の導入

1902年に海軍に採用された無線電信は、その後、重要な通信手段となりました。日本海海戦前、哨戒艦「信濃丸」が伝えた「敵艦見ゆ」という警電は、無線電信が海戦に応用された最初の例として知られています。

まとめ

大日本帝国海軍における海軍信号は、視覚、聴覚、そして無線電信など、多岐にわたる通信手段を組み合わせることで、迅速かつ正確な情報伝達を実現しました。これらの信号方式は、艦隊の円滑な運用に不可欠なものでした。

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